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2023

サバクトビバッタのフェロモンは大発生問題の救世主となるか?

 サバクトビバッタは紀元前よりアフリカなどでしばしば大発生し、農作物に甚大な被害をもたらしてきた悪名高い昆虫です。雌はふだんは小さい卵を産みますが、個体数が増えて混み合ってくると大きな卵を産み、その幼虫は頑強で早く成長します。
 近年、雌内で卵が作られる初めの2~4日の間に、雌が雄の体表物質(フェロモン)を触角で感じると、即座に大きな卵を産むという発見がもたらされました。フェロモンの感受には光が必要で、暗黒下では「混み合い効果」がみられず、卵が小さくなりました。さらに、同種だけではなく、ほかのバッタやゴキブリの体で刺激しても似た効果があると報告されました。これらの結果を受けて、そのフェロモン解明に別の研究者が挑戦しました。ところが7年の歳月をかけて実験を繰り返しても、上述のような結果はまったく再現されず、「短期間の混み合いでは、群生相化して大きな卵を産むことはない」と結論づけました※1 。もしこのフェロモンが解明されれば、大発生の進行を食い止める手段として大きな武器となる可能性があっただけに、残念な結果でした。
 しかし、まだ最終結論は出ていません。再現実験はなされていませんが、初期の結果を信じているグループがあるからです。日本から発信されたこの問題は、今や世界が注目する論争に発展しているようです※2 。

※1 Nishide Y and Tanaka S(2019)Journal of Insect Physiology 114:145—157.
※2  田中誠二(編)(2021)バッタの大発生と謎と生態、7 章「親の混み合いが子の形質を決める仕組み」、194—212. 北隆館

元農林水産省 蚕糸・昆虫農業技術研究所 研究室長田中誠二

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