ちょっと気になる新技術(37)座る人に合わせて変形する椅子「スフィア」

　コロナ禍を経て、働くスタイルも変化・多様化してきました。オフィスではフリーアドレスが導入され、従来のような固定席ではなく、デスクも椅子も複数人で共用することが一般化してきています。
　オフィス家具メーカーの株式会社オカムラは、誰が座ってもその人の体形や体格に合わせて自然に変形、身体にフィットする椅子「Spher(スフィア)」を開発、2022年3月に発売しました。
　「成人男女、100名以上の腰まわりと臀部の形状を計測し、何度も試作と実験を繰り返し、3年かけてやっと納得できる仕組みにたどり着きました」と、開発者はまさに試行錯誤の連続だったと言います。
　ポイントは、背もたれと座面に内蔵されたインナーです。オカムラ独自の「3Dフィジカルフィットシェル」により、着座者の身体を感知し、細かい調整をしなくても、大柄な人、小柄な人などさまざまな体格にフィットします。背もたれは、背骨に沿うセンターの両側に葉っぱ形状の柔らかい樹脂板があり、さまざまな身体の動きに合わせて柔軟に変形します。座面は無数のスリットが施され、着座者の臀部に合わせてしなやかにたわみながらフィットします。
　椅子と身体の接触面積が増えることにより、身体へかかる体圧が分散されるので、血流の圧迫が少なく、長時間座っても疲れにくくなります。

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