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2024

認知症の名医が認知症患者として記した言葉

 認知症研究の第一人者である故・長谷川和夫※1 さんは、自らも認知症であることを公表、『認知症でも心は豊かに生きている※2 』を出版されました。認知症に対して不安を抱く多くの人たちに、安心と前向きに生きる力を与える長谷川さんの言葉をその著書から紹介しましょう。
 「認知症になっても、何もわからない別人になるのではない」
 認知症になったからといって、別な人になってしまうわけではありません。人間はいろいろな面を持っていますが、その生は連続しています。昨日まで生きてきた続きの今日の自分が、そこにいるのです。
 「認知症は不便なことだが、不幸なことではない」
 認知症になると、繰り返し同じことを話したり道に迷ったり、確かに不便なことは起こりますが、まわりのサポートでなんとかなります。喜怒哀楽の感情はそのままに、その人らしく生きられるのです。
 「記憶が抜けてもまわりの人が覚えてくれている」
 自分がした行動や過去にあった出来事を忘れてしまっても、周囲の人がそれを覚えてくれていて、助けてくれますので、不安に思うことはありません。
 認知症でも心豊かに生きられる、そう思える人と社会でありたいものです。

※1 認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長。聖マリアンナ医科大学名誉教授。1974年に「長谷川式簡易知能評価スケール」を公表。
  「痴呆症」から「認知症」へ呼称変更をした立役者でもある。2021年11月13日逝去
※2 2020年8月6日中央法規出版より上梓

介護福祉士中村和彦

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