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2024

三浦半島の自然と歴史(27)ヘクソカズラとホシホウジャク

 ヘクソカズラは、夏に真ん中が赤紅色の白い小花を咲かせる蔓性の多年草で、秋には褐色の実をつけます。生け垣などの所々にヤブカラシと同じように見つけることができます。葉などを潰すと特異な悪臭がするため、漢字では「屁糞葛」と書きます。その悪臭成分は、メチルメルカプタン(メタンチオール)で、食害を受ける害虫などから身を守るためのもの、すなわちアレロパシー※ であると考えられています。チオール類はごく少量でも非常に強い悪臭を示すため、その特性を利用し、ガスに添加して漏れたことを感知しやすくする付臭剤などに使われます。
 ホシホウジャクの幼虫はヘクソカズラを食草としています。ホシホウジャクは日本全土から朝鮮半島、中国、台湾、インド北部などに分布しており、ハチドリのようにホバリングして蜜を吸う蛾です。先日、三浦のホームセンターで売られている花に飛翔して来たのを見つけました。また東北道国見SAでは、タイワンツクバネウツギに吸蜜に来ていた同じ食草のヒメクロホウジャクも見つけました。2種ともクチナシを食卓とするオオスカシバと同じスズメガ科、ホウジャク亜科に分類されます。日中活動する蛾で、一見スズメバチのように見えるので身構えますが、スズメバチ特有のブーンという大きな翅音は聞こえませんので、ハチではないことがわかります。

※ ある植物が他の植物の成長を抑える物質を放出したり、あるいは動物や微生物を防いだり、引き寄せたりする効果の総称。他感作用ともいわれている

NPO法人 バイオメディカルサイエンス研究会 常任理事前川秀彰

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