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2024

ケジラミの話

 シラミは小さな昆虫で、他の動物に感染して血液を吸います。感染する動物によって種は異なりますが、ヒトにつくシラミでは「アタマジラミ」、「コロモジラミ」、「ケジラミ」の3種が知られています。ケジラミは体長1mm前後で、ヒトの毛の生えている場所に生息し、血液を吸ってかゆみを誘発します。姿はまるでカニのようで、髪の毛、まつ毛、胸毛、わき毛への感染もありますが、陰毛と肛門周囲の毛への感染が一般的のようです。感染症などを伝播することはないようです。
 最近の研究によると※ 、ケジラミの遺伝的多様性はとても低いようで、台湾で9人から採集した計27匹のDNAを調べたところ、変異はまったく見られなかったばかりか、フランスのパリとアメリカのフロリダでの結果と比べても違いはありませんでした。感染は主に性行為や母子間の接触によって起こるのですが、ヒトから離れても2日くらいは生き延びるので衣服やタオルなどを通しての感染もあるようです。最近日本での感染率も増えてきているようですが、一般に感染率は低く、たとえば台湾では、2012年までの70年間で論文上では11例しか報告はありません。しかし増殖率は高く、1人の患者から1000匹も発見されることもあります。気になる症状がみられたら、大量に増殖する前に近くの皮膚科医院に相談するのが良いでしょう。

※  Tsai, T-F. et al. (2023) Formosan Entomology 43: 1-14. DOI:10.6662/TESFE. 202302_43(1).001

元農林水産省 蚕糸・昆虫農業技術研究所 研究室長田中誠二

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