- 日替わりコラム
Wed
3/6
2024
トコジラミはカメムシ目に属し、ソガク目に属するシラミやケジラミとは別の昆虫です。トコジラミは第2次世界大戦後DDTなど毒性の強い殺虫剤によってわが国ではほぼ絶滅したといわれています。しかし今世紀になりグローバル化が進み、海外からの物資や旅行客の増加に伴い、再びトコジラミが頻繁に発見されるようになりました。初めは主に宿泊施設で発見されましたが、最近ではそれ以外の一般家庭や施設でも発見されています。海外旅行が盛んになり、国外から衣服や荷物についたトコジラミを持ち込んでしまうことが原因と考えられています。トコジラミ問題は韓国ではかなり深刻のようです。
トコジラミには、熱帯と亜熱帯に分布する種と温帯に広く分布する種がいます※ 。日本で問題になっているのは主に温帯性の種で、米国でも深刻な問題になっています。殺虫剤による駆除が主流だったので、抵抗性系統が蔓延(まんえん)しています。それらのトコジラミは複数の殺虫剤を使うと効果的ですが、なんと次世代から効果が激減するという状況です。彼らは「スーパートコジラミ」と呼ばれています。
旅行の際には、トコジラミを持ち込まないよう気を配ることが大切です。もし腕や足に何か所もかゆみを伴う湿疹ができたら、ベッドや布団を徹底的にチェックして駆除してください。
※ Lee, C—Y. et al.(2023)Journal of Economic Entomology, 116(1): 1—4. Doi.org/10.1093/jee/toac141
元農林水産省 蚕糸・昆虫農業技術研究所 研究室長田中誠二
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