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Thu

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2024

三浦半島の歴史と自然(28)ウラシマソウ

 三浦では、ウラシマソウが林の中や大きな木の陰などあちこちで見つかります。宿根草の多年草で、花が咲く4~5月は特に見つけやすいです。テンナンショウ※1 の仲間で、日本では本州、四国や北海道と九州の一部に分布しているそうです。肉穂花序(にくすいかじょ)※2 といわれる花の一部の先端が竿状に長く伸びており、浦島太郎が持っている釣竿に見立てたことがウラシマソウという和名の起源とされています。
 テンナンショウ属は成長や栄養の状態によって性転換するのが特徴で、栄養状態の悪いうちは雄株となり、球根が育って栄養状態が良くなると雌株へと変化するとされています。受粉はキノコバエの仲間による虫媒によって行われることが知られています。キノコバエ類は、雄花の仏炎苞(ぶつえんほう)※3 の入口から侵入し、花粉を体に付着させたあと下部の隙間から外へ出て雌花に向かいます。そして、雌花の仏炎苞の入口から侵入したキノコバエ類は雌花に受粉させますが、雌花には出口がなく、脱出できずに死んでしまいます。雌花は、結実するとトウモロコシ状に多数の実をつけ、成熟すると緑から朱赤色に変わります。
 キノコバエの仲間には、オーストラリアの洞窟に生息する幼虫が光ることから「ツチボタル」の名で知られるヒカリキノコバエがいます。とても幻想的であったことを思い出しました。

※1 サトイモ科に属し、天南星の意で、この類の球茎の漢方生薬名である
※2 花序の一種。中軸が肥厚して多肉質となり、その周囲に柄のない多数の花が密生しているもの
※3  花を保護するために包んでいる葉のようなものを苞といい、植物の苞のうち、肉穂花序を包む大形のものを仏炎苞と呼ぶ

NPO法人 バイオメディカルサイエンス研究会 常任理事前川秀彰

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