イカリホールディングス株式会社 よりそい、つよく、ささえる。/環文研(Kanbunken)

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7/12

2024

半径2kmで栄養の循環をつくる(1)カエルの子はカエルなのか

 私とコンポストとの出逢いは30年前。知人も友人もいない大阪に移住して、時間があるから何か新しいことをしてみようと思い立ち、自転車で10分ほどの場所に小さな畑を借りました。右も左もわからず、当時はスマホもなかったことから、福岡の実家に電話をかけてみました。昔、母が野菜をつくっていたことを思い出したのです。
 「カエルの子はカエルやね」。娘の質問には答えず、電話の向こうでせせら笑っている母。母も結婚後、お金もないことから野菜をつくろうと、庭にせっせと生ごみを埋めて耕していたことを思い出したというのです。
 「えー、生ごみ?」
 「庭が健康になるとよ。大きなコンポスト容器ば、買ってんしゃい」
 半信半疑でしたが、ほかに先生はなく、仕方なくコンポストというものを検討し、まずは生ごみを埋めるところから始めてみました。
 かつて証券レディでワンレンボディコンだった私の体に、バツ印にかけられたおんぶ紐。健康優良児の長女の重さによりがっつり食い込んでいます。そして生ごみの入ったバケツを片手に、麦わら帽子を深くかぶり、必死な顔でママチャリをこいでいる。通りの店の窓に映る、そんな変貌した自分の姿を見て複雑な気持ちになりましたが、「まあ、いっか。知り合いいないし」という言葉が頭を巡りました。

ローカルフードサイクリング株式会社 代表たいら由以子

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