- 日替わりコラム
Wed
8/21
2024
京浜急行電鉄(京急線)は、その成り立ちからJR京浜東北・根岸線や横須賀線との競合路線としての立場に置かれていました。快特は、品川―横浜間を120km/hで運行しています。これには車両の開発だけに留まらず、さまざまなシステムの改革を伴っています※1 。先頭車両に乗って外を見ていると、体感スピードはかなり速いです。高架化され、踏切がなくなったことも影響しています。普通電車(各駅停車)に当てられる車両は、駅と駅の間隔が短いので、急加減速ができる装置を搭載しています。時間短縮を図るためです。
自然災害や人身事故などで列車の運行を見合わせることになったときの対応の良さも京急線の特徴です。相互乗り入れを行っていると、いったん沿線内で事故が起こると線をまたいで影響が出てしまうことは否めません。しかし京急線では、不通区間を極力短区間にとどめ、運行できる区間での折り返し運転に切り替える、俗に「逝っとけダイヤ」と呼ばれる方策をとっています。予測や判断など人の優れた対応能力が鈍くならないよう熟練度を継承するために、100%の自動化・機械化を行わず人が介入できる余地を残すという考えをもとに対処する方法をとる、いわゆる「マン・マシン・システム※2 」です。このため京急線の復旧は迅速で、ほかの鉄道と比べると群を抜いているのを実感します。
※1 『なぜ京急は愛されるのか』佐藤良介著 交通新聞社新書(2018)
※2 目的達成のために、人間と人間が操作する機械がバランスよく構成されているシステムのこと
NPO法人 バイオメディカルサイエンス研究会 常任理事前川秀彰
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