- 日替わりコラム
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9/2
2024
50年前、著名なオフィス・デザイン研究者は、オフィス・デザインを行う前提問題として「企業の官僚性の高低がある」と述べました。つまり、ピラミッド型の組織体系を下地とした年功序列がはっきりとした官僚性が高い企業と、フラットな組織体系を下地とした官僚性が低い企業があり、官僚性が高い企業はステータスを表す家具の選定(差別化)やデザインが求められ、官僚性が低い企業はその限りではない、と定義づけたのです。
そして現在、ピラミッド型の組織体系は残っているものの、たとえばフリーアドレス(固定的なデスクを持たず、同じテーブルを皆でシェアする働き方)に代表されるように、オフィス・デザインはフラット化してきています。しかしながらその結果、企業間のデザインもフラット化し、どの会社のオフィスでも同じようなレイアウトになってしまう可能性があります。
専門学会の調査では、75%の人が「オフィスは、その企業の特徴を表現するような個性的なデザインが良い」と回答しています。これからのオフィス・デザインは、年功序列やステータスを表すのではなく、いかにその企業らしさをデザインするのかが重要なファクターとなっているのです。
日本オフィス学会 副会長地主廣明
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