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12/17
2024
「ぺこぺこ」、「ばっさり」、「にこにこ」など、日本語には豊かなオノマトペがあります。音や状態を写し取ったりまねたりして表した言葉で、親しみやすく、日々の暮らしに根付いてきました。音を写すものは「擬声語」、「擬音語」、状態を写すものは「擬態語」ともいいます。
オノマトペは、聞く音や感じる印象をそのまま言語化するので、新語が生まれやすいという性質があります。たとえば「がっつり食べた」などと使う「がっつり」。今年文化庁で実施した調査では、85%を超える方が、この言葉を「気にならない」と答えており、多くの人たちに認識されるようになっています。しかし、辞書に載りはじめたのは2010年前後で、平成の中頃までは一般的ではありませんでした。
また、ときめきを感じたときに使う「きゅんきゅん」も近年急速に広がったオノマトペです。先の調査では8割が「気にならない」と答えていますが、辞書に載ったのは令和に入ってからと最近です。昔から恋愛感情の表現として「胸がきゅんとする」、「胸キュン」などが使われてきました。その進化形ともいえる「きゅんきゅん」は、もう少し軽い印象で、かわいく愛らしいものに対しても使われるようです。
ふだん何気なく使っているオノマトペ。ちょっと意識してみると、日本語の面白さに気付くことができるかもしれません。
文化庁国語課 主任国語調査官武田康宏
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