- 日替わりコラム
Thu
1/30
2025
認知症の方が暮らしやすい工夫や、住宅改修の事例を目にすることがあります。段差解消や手すりの設置をはじめ、室内の温度変化により自動で開閉する窓、水道の蛇口を色分けして冷水と温水が出るようにする、至る所に家族の写真を置いて人の顔を忘れないようにする、などです。
しかし、中には「認知症の方の場合、住宅の改修を行うと混乱の原因になる」という意見もあります。確かに改修工事によって家の雰囲気が変わってしまい、不安を感じさせてしまうことも否定できません。たとえば、トイレを和式から洋式に改修し、便器のふたを閉じておくと、ふたの上に排尿してしまう人もいます。また、さまざまな場所に手すりを設置しても、それが何なのかわからない方もいます。特に注意してほしいのは、入院中に改修をすると、退院後そこが自宅と認識できない場合があるということ。できれば暮らしながら改修を進めるのがベストだと考えられます。
混乱を防ぐには改修のタイミングが重要です。認知症がまだ初期の段階であれば、環境の変化に戸惑うことは少ないでしょう。そのためいまは認知症ではないが、将来は認知症になるかもしれないと不安に思う人は、早めに工事をして、室内の雰囲気やさまざまな変化に慣れておくことが混乱を招かない方法だといえます。
介護福祉士中村和彦
全部または一部を無断で複写複製することは、著作権法上での例外を除き、禁じられています
- アクセス