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2025
顧客などからのクレーム等で要求内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、それにより労働者の就業環境が害される「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が社会問題となっています。事業者は、このようなカスハラから労働者を守る「安全配慮義務」が労働契約法第5条で定められています。これらの迷惑行為は、強要罪、業務妨害罪、不退去などについて刑法や軽犯罪法で禁止されていますが、警察や司法による解決は容易ではなく、カスハラによる労働者の疲弊、離職などが大きな悩みとなっていました。
2025年4月から施行される東京都カスタマーハラスメント防止条例では、何人もあらゆる場においてカスタマーハラスメントを行ってはならないというカスハラの禁止を定めるとともに、カスハラ防止のための都の責務(情報提供、啓発、相談)、顧客の責務(関心、理解、必要な注意)、就業者の責務(理解、防止に資する行動)、事業者の責務(カスハラが起きた場合の就業者の安全の確保、当該顧客への中止の申入れ)等を定めています。また事業者は、カスハラを防止するための措置として、都の指針に基づき、必要な体制の整備、カスハラを受けた就業者への配慮、カスハラ防止のための手引の作成などの措置を講ずる努力義務が課されました。なお、カスハラ防止条例違反に罰則はありません。
アジアンタム法律事務所 弁護士高橋辰三
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