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Thu

2/6

2025

薬草に親しむ(3)ムラサキ

 東京都薬用植物園で栽培しているムラサキを紹介します。初夏に咲く花は白色ですが、根が紫色であることが名前の由来といわれています。薬用部位はその根で、生薬名を紫根(しこん)といい、やけど、ひび、あかぎれなどの治療薬に用いられます。また江戸紫※ の染料としても使われています。北海道から九州にかけて広く分布していて、かつては東京都の多摩地区にも多く自生していました。多摩地区のある高校の校歌にはムラサキが登場し、校章にもムラサキの花が用いられています。都市化・宅地化が進み、環境が変化し、ムラサキの生育に適した土地が少なくなってしまったことから、現在は絶滅危惧植物となっています。
 日本には、種子植物とシダ植物を合わせると約7000種類が生育しています。このうちの約30%の植物に絶滅のおそれがあります。環境省の「レッドリスト」には、絶滅の危機に瀕している種を絶滅危惧Ⅰ類、絶滅の危険が増大している種を絶滅危惧Ⅱ類、存続基盤が脆弱な種を準絶滅危惧として収載されています。さらに詳細な絶滅危惧のランクは、絶滅(EX)、野生絶滅(EW)、絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)、絶滅危惧Ⅰ A類(CR)、絶滅危惧Ⅰ B類(EN)、絶滅危惧Ⅱ類(VU)、準絶滅危惧(NT)、情報不足(DD)となっています。ムラサキは、絶滅危惧Ⅰ B類(EN)になります。

※ 濃い青みの紫

東京都薬用植物園 主任研究員中村耕

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