- 日替わりコラム
Thu
3/13
2025
明治維新後、「近代日本の設計者」として政治の基礎を作ったのが大久保利通(おおくぼとしみち)や伊藤博文(いとうひろぶみ)、井上馨(いのうえかおる)などの政府高官だったのに対して、実業界、日本資本主義の基礎を作った一人が渋沢栄一だったことは、大河ドラマ※1 主人公や新一万円札の肖像になったことで、広く知られるところとなりました。彼が関わった会社は約470社、さらに600以上の学校や病院などの社会事業にも携わったといわれています。
そんな渋沢は、「士魂商才」という言葉を大切にしました。「武士は食わねど高楊枝」などということわざがありますが、渋沢は、「世に立つためには武士の高潔な精神が必要だが、経済的に困窮してしまってはそれを活かすことができない。これからの世は、併せて商才もバランスよく持つべきである」と説いているのです。そして、この武士の精神に通ずる「道徳」はもとより、「商才」も、彼が座右の書とした『論語』から読み取ることができると述べています。
現代風に平たく言えば、「文武両道」を目指すということなのでしょうか。学問の神様といわれる菅原道真(すがわらのみちざね)も「和魂漢才(わこんかんさい)」※2 という似たような言葉を残しています。
日本の現状を考えると、渋沢に倣い、改めて論語を一から学び直す必要性があるような気がします。
※1 『青天を衝け』2021年NHK大河ドラマ第60作
※2 「日本固有の精神と中国の学問を兼ね備える」という意味
商品開発アドバイザーH・B 山越
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