- 日替わりコラム
Wed
3/26
2025
さいたま市大宮盆栽美術館の近くで、きれいな花を咲かせていたボケのミニ盆栽を買いました。しばらくしてから、ルリハムシに似た甲虫が付いていることに気づきました。横浜で飛来したのか、購入場所から付いてきたのかはわかりません。その甲虫は、葉っぱをくるりと巻いてその中に入ってしまいましたので、ルリハムシではなく、オトシブミの一種であったと思います。その後、幼虫や成虫が出てきた様子はありませんでした。
オトシブミは、木の葉を巻いてゆりかごをつくる性質をもったゾウムシの総称です。分類上は、ゾウムシ上科オトシブミ科オトシブミ亜科のすべてとチョッキリ亜科の一部が相当します※1 。この虫は大変器用で、葉の葉脈の中心だけを残して切り分け、それを円筒状に巻いてその中に卵を産みます。そして巻いた葉を地上に切り落とします(枝に残す種類もあります)。このゆりかごを「揺籃(ようらん)」といいます。この揺籃が巻きもののように見え、昔の文に似ていることから、揺籃をつくる昆虫をオトシブミと呼ぶようになったそうです※2 。雌だけがつくることができ、若葉の季節に森の中に落ちているのを見つけることができるそうです。動画を見ると本当に芸術的で感動ものです※3 。卵からかえった幼虫は、巻かれた葉を食べて成長し、蛹になり成虫に変態します。
※1 『オトシブミハンドブック』安田守・沢田佳久著 文一総合出版(2009)
※2 「森の自然誌:虫たち:オトシブミ」
https://naturealbum.web.fc2.com/nature/
※3 『どうぶつ奇想天外』【すごい昆虫】自分の何十倍もの大きさの葉を切って丸めてカプセルを作る驚異のテクニシャン昆虫!オトシブミ
https://www.youtube.com/watch?v=QzjKWanGbEU
NPO法人 バイオメディカルサイエンス研究会 常任理事前川秀彰
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