- 日替わりコラム
Fri
3/28
2025
私がまだ幼い頃、わが家では頻繁に宴会が行われていました。「ああ、またか」と思うも、客人の前で嫌な顔をしようものなら、母の強いゲンコツが飛んできます。私は大好きな父のあぐらをかいた脚の上にちょこんと座り、退屈な大人の会話の中、お酒が注がれたコップが上がったり下がったりしているのを眺め、何度も心の中で「早く帰って」と唱えながら、1時間でも2時間でも黙って終わるのを待っていました。親戚の集まりに至っては、耐えきれずに台所に立つ母に苦情を言いに行きます。「おじちゃん、またおんなじ話をしている」。振り向きもせず母は、「しょうがない、がまんしなさい」。納得がいかないまま元の席に戻る私に、「迷惑な顔をしたらいかんよ!」と念まで押してきます。
当時、家庭という小さな社会でほとんどの時間を費やし、少ない選択肢の中で大きな影響を受けて育った私。子ども中心の日はいつやってくるのかと思いながら、キラキラした外の世界(友達や映画や本)への憧れに誘われていきました。
ちなみに、このおもてなしは20年近く続きました。一度だけ高校受験の年に、騒ぐ客人に「うるさい」と一喝したことがあります。犠牲の上に成り立つおもてなしを憎んでいた私が、なぜか今は極度のおもてなし好きに。なんの因果なのでしょうか。
ローカルフードサイクリング株式会社 代表たいら由以子
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