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4/8
2025
認知症の人は年々増加しており、厚生労働省は2040年には584万人になるという推計をしています。それに伴い、認知症の人が事故やトラブルを起こすケース(他人の財物の損傷、火や水の不始末、車の運転、踏切事故など)も少なくありません。そうした中、民間保険を活用した損害賠償制度を独自に導入する自治体が増えています。「個人賠償責任保険」という民間保険を活用し、認知症の人が事故を起こし賠償責任を負った場合に補償するというものです。認知症になると、外出すると人に迷惑をかけるという思い込みから、自然と自宅にこもってしまう人が少なくありません。補償制度により当人や家族が安心して生活できるだけでなく、認知症進行を遅らせる効果のある外出や交流につながることも期待されます。
広島県呉市では、同市が行う生活支援・重症化予防、介護者支援などを一体的に実施する「認知症パッケージ事業」の一つとして、早期発見から補償制度につなげる取組みを行っています。市内の薬局などで認知症スクリーニング検査(認知症に関するアンケート用紙の記入など)を行い、認知症の疑いのある人には物忘れ相談対応の病院への受診を勧めます。そこで認知症と診断されると、認知症保険の対象者として登録され、同市が保険に加入します。
介護福祉士中村和彦
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