- 日替わりコラム
Fri
4/11
2025
冬の寒さが和らぎ、日差しが暖かくなるとともに、桜のつぼみが膨らみ始める様子は春の訪れを感じさせ、なんとなく心がうきうきします。そして満開の花が咲き誇り、花びらが風に舞う─そんな光景は、日本ならではの春の風物詩です。
桜は、古代から現代まで、時代を超えて私たちの心を魅了し続けています。平安時代には、桜は貴族たちに愛でられ、和歌や物語の題材として頻繁に登場しました。「花」といえば桜を指すほど、その存在は特別でした。散り際は「無常」という仏教思想と結びつき、人生のはかなさや美しさを象徴するものとされました。この感性は、現代の私たちにも深く響くものがあります。江戸時代になると、桜は庶民の間でも親しまれるようになり、花見文化が広がりました。桜並木が整備され、人々はその下で宴を楽しみ、自然と触れ合うひとときを過ごしました。
桜は身分や時代を問わず、人々をつなぐ役割を果たしてきました。時代が変わっても思い思いに桜を楽しむ様子は、桜が日本人の文化や心情に深く根ざした存在であることの現れなのでしょう。そして今や桜は、日本だけでなく世界中で愛されています。今年も桜がもたらす豊かさやパワーを堪能し、日常の忙しさを忘れ、自然と調和する心地よさを味わいたいものです。
ライター竹内悦子
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