- 日替わりコラム
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5/16
2025
地球温暖化によりネズミの数が増加することが考えられますが、正式な調査はほとんど行われていません。そこで私たちは、気候変動や都市化がネズミに与える影響を解析しました※1 。
東京を含む世界16都市におけるネズミに関する苦情数を分析したところ、ワシントンDCやニューヨーク、アムステルダムなどの11都市では苦情数が増加していました。一方、東京、ルイビルおよびニューオーリンズの3都市では苦情数が減少していました。そして、苦情数増加の40.7%を平均気温が説明し、次いで緑被率※2 と人口密度がそれぞれ34.3%と19.4%を説明していることがわかりました。より詳しく解析してみると、平均気温が上昇するほど、また人口密度が高いほど、苦情数の増加率が大きいことが確認されました。一方、緑被率が高いほど、また緑被率の減少が小さいほど、苦情数の増加率が抑えられたり、苦情数が減少したりすることも確認されました。これらの結果から、地球温暖化は都市化とともにネズミを増加させる要因であることが示唆されました。ただし、これは世界レベルの大まかな傾向であることから、各都市は固有の状況に応じたネズミ対策が必要です。また、必要となるデータが常に利用できるように、適切なリソースの投入も求められます。
※1 https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20250204-1.html
※2 ある地域の敷地面積に占める緑地の割合
東京大学 大学院農学生命科学研究科 准教授清川泰志
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