- 日替わりコラム
Wed
6/11
2025
ブラジル・サンパウロ大学の研究者は、サンパウロ市カンポ・リンポ区にある低所得地域で、環境条件とネズミの侵入状況の関係性について調査・研究を行いました。
1529軒を調査した結果、611軒(40%)にネズミがいました。ネズミは主にクマネズミとドブネズミで、クマネズミがいたのが470軒(76.9%)、ドブネズミがいたのが204軒(33.4%)、ハツカネズミがいたのが24軒(3.9%)でした。また、72軒(11.8%)にはクマネズミとドブネズミの両方が、4軒(0.7%)には3種すべてがいました。解析の結果、「アクセスのしやすさ」、「隠れ場所」、「食べもの」の順にネズミの侵入に関連していることがわかりました。より詳しく解析したところ、クマネズミの場合は「侵入しやすい建物の構造」がもっとも強く関連しており、次いで「アクセス可能なゴミ」や「保管された廃材」が関連していました。ドブネズミの場合は「下水道が未整備」がもっとも強く関連しており、次いで「密生した茂み」と「果樹」が関連していました。
これらは興味深い結果ですが、日本の都市には見当たらない要因が多いことが残念です。日本でも同様の研究を行うことで、より効果的なネズミ対策法を考えることができるかもしれません。
参考文献:
E. de Masi, et al., Environmental conditions and rodent infestation in Campo Limpo district, Sao Paulo municipality, Brazil, Int. J. Environ. Health Res.19,1-16(2009)
https://doi.org/10.1080/09603120802126670
東京大学 大学院農学生命科学研究科 准教授清川泰志
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