- 日替わりコラム
Tue
6/17
2025
商売人の間では「松竹梅の法則」というものがよく知られています。商品に3段階の選択肢があった場合、人はなぜか真ん中を選んでしまうという心理現象を示すもので、これを行動心理学では「ゴルディロックス効果※ 」と呼びます。
ファストフード店などでドリンクやポテトのサイズが「S・M・L」などと3段階になっている場合、購入比率は「2:5:3」になるといわれています。つまり、もっとも売りたい商品を中心に置くのです。「松」の価格にはしっかり利益を見込み、中心の「竹」と大きな価格差を設定します。これに対して「梅」は、「この程度の差なら『竹』にしようか」と誰もが思うような小さな差に留めます。このような価格上の工夫で、中心の「竹」により多くの注文を集中させることができるのです。注文の集中化は、仕入れや仕込み、調理やサーブの効率化を生み出し、より大きな利益につながります。では、選択肢が「2段階」や「4段階」の場合はどうでしょうか。「2段階」の場合は安いほうが多く売れるため、売上が伸びません。「4段階」以上の場合は選択肢が多すぎて迷いが生じ、購入に至らないといった事態を招きかねません。
売上への影響を念頭に置けば、商品ラインナップや価格の決定の際には、人の心理の探究が欠かせないということです。
※ 名称の由来は、『3匹の熊(Goldilocks and the Three Bears)』というイギリスの童話
商品開発アドバイザーH・B 山越
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