- 日替わりコラム
Wed
7/16
2025
ネズミは街だけではなく、畜産現場(家畜牧場)にも生息していることを多くの人が実感していました。しかし、その実態は不明でした。
そこで私たちは、日本の家畜牧場におけるネズミの生息を調査するために、400名以上の牧場主にアンケートを実施しました※1 。その結果、82.5%の牧場でネズミが生息していることが明らかになり、ネズミの生息は広く見られる問題であることがわかりました。また、ネズミが生息しやすい牧場の特徴として、豚を飼育している牧場や中規模の牧場が挙げられました。さらに注目すべき結果として、ネズミ対策を牧場主自身で行っている牧場とPCO※2 に依頼している牧場のどちらにもネズミが生息していることが判明しました。これには、より多くのネズミが生息していたものの、PCOによる駆除作業でPCOに依頼していない牧場と同程度までネズミが減少している可能性が考えられます。しかし一方で、牧場主が自身の牧場でPCOと同程度にネズミ対策を行えている可能性や、PCOがプロとしての違いを示せていない可能性も考えられます。また、豚に自由給餌を行っている畜舎や古い畜舎で、ネズミが生息しやすいことが明らかになりました。
これらの知見が家畜の健康とアニマルウェルフェアの向上に貢献することを願っています。
※1 Kiyokawa, Y., et al,(2025) A nationwide survey in Japan to identify the factors
associated with rodent infestation on livestock farms, Anim Sci J., 96(1):e70057.
※2 ペストコントロール事業者
東京大学 大学院農学生命科学研究科 准教授清川泰志
全部または一部を無断で複写複製することは、著作権法上での例外を除き、禁じられています
- アクセス