- 日替わりコラム
Wed
7/23
2025
人間だけでなく、生きものには右利きと左利き両方あるものが多くいるようです。わかっている例では、カンガルーとオウムには左利きが多いとのこと。アサガオのつるはアサガオ自身から見て右回りに巻きつきますが、これも右利きといえるのでしょうか。原生生物のゾウリムシは体を左に回転させながら進みますが、これはどうなのでしょうか。
魚についても利き手(方向)の研究がされています。まず魚の体の構造を見ると、必ずしも背骨や口の骨のつき方はまっすぐではなく、個体ごとにどちらかに偏っていて、同じ種類の魚でも右利きと左利きがあることが示されています。アフリカのタンガニイカ湖に他魚の鱗をかじり取る魚がいますが、この魚には個体ごとに左右の利き方向があり、左右どちらからも襲うので被食魚は逃げるのが難しく、襲撃の成功率向上につながっているとのこと。また、利き方向は物の見え方にも影響します。右利きは右が見えやすいので、右利きの魚が右後方から近づかれると、左利きの魚よりも早く気づけるため捕食される可能性が低いそうですが、どうやって調べたのでしょうか。他方、イワシ類は旋回して群れで泳ぐとき、時計回りに泳ぐ群れが多いとのこと。これは左利きの魚が多いことを示しますが、個体ごとに調べて確認もされています。右利きのイワシは利き手を直すのでしょうか。
参考文献:『エビとカニの博物誌─世界の切手になった甲殻類』大森信著 築地書館(2021)
古田優
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