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2025
慶應義塾大学の野村周平特任教授らは、米ワシントン大保健指標評価研究所(IHME)が主導する世界の疾病負荷研究(GBD)のデータを用いて、1990年から2021年にかけて過去30年間における日本人の寿命と疾病の負荷を評価した結果、アルツハイマー病などの認知症による負荷が増大していたと報告しました※ 。
日本人の主要死因を解析したところ、1990年時点では6位であった認知症が、2021年は1位となっていました。それまで死因の上位を占めていた脳卒中や虚血性心疾患などが、医療の進歩や健康意識の高まりなどに伴い減少したことによるものと推察されます。
欧米諸国では長期にわたって症状を悪化させる病気を死因として扱うことが多く、死因の定義や算出方法が日本とは異なります。厚生労働省が発表した2023年における日本の死因のトップは悪性新生物(がん)で、以下、心疾患、老衰、脳血管疾患、肺炎と続いています。認知症としてはアルツハイマー病が10位に入っています。認知症は誤嚥性(ごえんせい)肺炎などの死因につながるうえ、嚥下障害などが合併症として現れる場合もあります。厚生労働省研究班の推計によると、認知症の高齢者は2050年には586万人に上るとされています。野村氏は「個人でも生活習慣に注意を払うことが認知症対策に役立つ」と述べています。
※ 2025年3月20日の『THE LANCET Public Health』誌電子版に掲載
介護福祉士中村和彦
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