イカリホールディングス株式会社 よりそい、つよく、ささえる。/環文研(Kanbunken)

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7/28

2025

半径2kmで栄養の循環をつくる(7)父の余命宣告(2)

 末期がんによる入院から自宅での「食養生」に切り替えるため、私は大阪から福岡へ家族で引っ越し、食事担当を引き受けました。ところが、初日から大きな壁にぶつかりました。「無農薬野菜が手に入らない」のです。何が起こっているのかすぐにはわかりませんでした。しかし、とにかくミッションを達成しないと後がない。生まれたばかりの娘を背負って、市内を2時間かけて探し回りました。ようやく見つけた無農薬野菜は高価にもかかわらず鮮度が落ちていました。食べさせないと明日にも父は命を落とすかもしれないという焦りと、安全な野菜が手に入らない世の中に対する怒りでいっぱいでした。
 食事の基本は玄米菜食とし、毎食の献立はほぼ同じ。すべて無農薬野菜で調味料は無添加、さらに白砂糖も排除するという、それまでの習慣を大転換することになりました。皮付きのごぼうや人参、葉付大根と干し椎茸を煮出した特製野菜スープも常備しました。父は元気なときは10分ほどで、体調が優れないときは1時間以上かけて食するときもありました。間違いなく私たちの気持ちに応えるために、必死で口に運んでいました。うつむく父を見るのはつらく、少しでも苦痛を減らそうと、知恵を絞り、限られた調味料を利用してなるべく食べやすいものをつくりました。命をつなぐため、お互いが努力を重ねていきました。

ローカルフードサイクリング株式会社 代表たいら由以子

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