イカリホールディングス株式会社 よりそい、つよく、ささえる。/環文研(Kanbunken)

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2025

半径2kmで栄養の循環をつくる(8)父の余命宣告(3)

 食養生で毎食欠かさずに出していた、ケールを中心としたグリーンスムージー(当時は「青泥」と呼んでいました)が効いたのか、父の容体は徐々に好転していきました。肝臓がんでくすんでいた顔色も明るさを取り戻し、透明感さえ感じられるようになったのです。「もう難しいかもしれない」と思われた状態から、外を散歩できるほど元気を取り戻しました。「食は命」——この言葉の重みを、私は初めて実感しました。栄養士として勉強していながら、「医食同源」という言葉の本質を理解できていなかったことに気づかされたのです。
 食材の調達や調理を担っていた私は、この経験を通じて、無農薬野菜の価値をあらためて認識し、栄養をなるべく損なわないよう丁寧な調理に努めるようになりました。しかし一方で、価格や手間を考えると、安全な食材がより身近で手に入らなければ持続するのは難しいと感じるようになりました。空き時間を利用しては近隣の農家を訪ね声をかけてみましたが、消費者の健康を意識して野菜をつくるという生産者にはなかなか出会えませんでした。背負った長女の重みが心にものしかかり、「この先、環境がますます悪化する中で、どう生きていけばいいのか」、「どうすれば安心して子どもを産み育てられるのか」といった将来への不安が、日々大きくなっていきました。

ローカルフードサイクリング株式会社 代表たいら由以子

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