- 日替わりコラム
Thu
10/2
2025
防虫対策や異物混入防止にかかるコストを、単なる「費用」と考えていませんか。私は中小企業診断士として多くの食品関連企業を支援し、また商品開発に携わる中でたくさんの現場を見てきました。そこでつくづく感じるのは、「衛生管理費は信用への投資である」ということです。
皆さんもご存じの通り、日本の食品には非常に高い品質が求められており、たった1匹の虫やわずかな異物が、何年もかけて築き上げたブランドや顧客との信頼関係を一瞬で崩壊させてしまうことがあります。さらに現代では、SNSや口コミサイトの影響力が非常に強く、一度のミスが一気に拡散し、企業の評判や売上に深刻なダメージを与えることも珍しくありません。だからこそ、清掃や点検の徹底、ゾーニング、防虫設備の強化、従業員教育といった取組みは、単なる「費用」ではなく、むしろ将来の損失を防ぐ「戦略的な投資」として捉えるべきです。目に見える売上だけでなく、目に見えない信頼を守る姿勢は、企業経営にとって欠かせません。
食品関連企業にとって、衛生意識の高さは企業文化の成熟度を示すバロメーターです。現場任せにせず、経営層が積極的に関与し、全社一丸となって取り組む体制こそが、今まさに求められているのではないでしょうか。
カゴメ株式会社/未来創造LAB 中小企業診断士宮﨑健太
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