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10/8

2025

トルコ便り(1)初めてのトルコ共和国

 2023年から「日本・トルコ感染症プロジェクト」に参加しています。その関係で同年11月に初めてトルコ共和国を訪問しました。まず、アンタルヤで開催されたトルコ寄生虫学会に参加し、「サシチョウバエが媒介するリーシュマニア症」に関して情報交換をしました。アンタルヤはトルコの観光首都と呼ばれる地中海に面した国際的海浜保養地です。
 学会終了後は車でアンタルヤから約130km東へ。リゾート地のアランヤを過ぎたあたりからは、約30分ひたすら山道を登っていきます。眺めの良い山の中腹には、ニワトリやウシなどを飼っている集落がありました。ここがリーシュマニア症の浸淫地です。
 日本では、これまでリーシュマニア症をはじめ、サシチョウバエが媒介する人獣共通感染症の報告はありません。しかし、日本にもSergentomyia属サシチョウバエは分布し、世界的にはリーシュマニア症の流行地もサシチョウバエの生息域も拡大しています。日本国内のサシチョウバエの分布を把握し、病原体の感染能を精査するなど、ベクター(媒介生物)や感染症の侵入に備える必要があるでしょう。
 次に訪れたのはトルコ第二の都市、首都のアンカラ(第一はイスタンブール)です。保健省で開かれたシンポジウムでは、日本における節足動物媒介感染症の現状について紹介しました。

東京大学 大学院 農学生命科学研究科澤邉京子

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