森が育むチームの力

　森の中で研修を行う企業が増えています。森林という非日常的な環境では、役職や上下関係を意識しにくくなり、自然と協力し合う雰囲気が生まれます。その結果、柔軟な発想や新しいアイデアが引き出され、チームとしての一体感が高まります。
　ある商社では、新入社員が間伐材を使ったベンチ作りに挑戦しました。設計図や手順書はなく、限られた資材と時間の中で完成を目指すという課題に対し、役割を分担しながら取り組みました。途中で想定外の不具合が生じても、互いに声を掛け合い、その場で最適な解決策を模索していきます。リーダーは「今、何が必要か」、「誰に動いてもらうべきか」と常に考え、判断力やリーダーシップを磨く場となりました。完成後はたき火を囲み、日常業務では得られにくい本音の会話が自然と生まれ、同期や仲間との絆が深まったといいます。
　また、ある建設会社は山梨県の森林で研修を行い、木の苗を守るための作業やマウンテンバイク用ルートの整備などを通じて、自然環境の保全と社員の協働体験を両立させました。その結果、若手社員の離職率が低下し、人材定着にも効果を上げたそうです。
　こうした研修は、人材育成だけでなく、地域活性化やサステナビリティ推進の切り札として、今後ますます注目されていくでしょう。

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