- 日替わりコラム
Wed
11/12
2025
町中のわずか20坪の庭ですが、訪れる人は「ジャングル」や「里山」と評します。銘木はなく、コブシ、コナラ、シラカシなどの高木、ガマズミ、ヤマボウシの中木、ヤマブキやムラサキシキブの低木、さらにスミレ、ラン、シダ、苔など100種以上が育ちます。そこにはイモリやカエル、ヤモリ、ヘビ、トカゲ、さらには昆虫やカタツムリまで暮らす、小さいけれど豊かな生態系が形づくられています。
6月には新しい仲間が加わりました。生きもの好きの隣家の兄ちゃんが近くの山から持ってきてくれたモリアオガエルの卵塊です。ここもかつては分布域のはず。早速、池の上に吊るすと、10日ほどで100匹以上のオタマジャクシが孵化しました。半分は水槽に、もう半分は池に入れ、それぞれに同量の餌を与えましたが、水槽のほうが成長が早いのです。池は井戸水で20数℃、水槽は30℃を超す水温。この差でしょうか。36日後、水槽は空っぽになり、池では50日を過ぎても数匹が泳ぎ続けました。イモリやヘビに食われた個体もいたと思いますが、途中で死ぬものもほとんどなく、多くが水中から陸へと巣立っていきました。
モリアオガエルは樹上で暮らし、昆虫を食べて過ごします。来春、この「里山」の木々から彼らの「コロコロ、コロコロ」という美声が響くことを願っています。
富山市ファミリーパーク 名誉園長/元日本動物園水族館協会 会長山本茂行
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