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12/1

2025

ストレス社会を心穏やかに生きる(134)雲孫(うんそん)への手紙

 「戦後80年」という節目の年でありました本年も、また新しい年を迎えようとしております。
 「諸行無常(しょぎょうむじょう)」と申しますように、あらゆる変化の中でのみ、「仮有(けう)」という存在としてでしか生きることの叶わないのが、私たちの物質的な世界ですが、何ものにも縛られることなく、唯一、「実有(じつう)」として存在し得るもの、それは「時間」です。
 私たちが生きるこの世界において、たった一つ、真に存在しているのは、「時間」だけなのです。
 「時間」という悠久無辺の存在は、この80年に限らず、「歴史」という私たちの生き方を、どのような想いで見つめてきたのでしょう。
 私たちの「いのち」は、数多(あまた)の祖先の「いのち」からの手紙です。
 初代から、「子(こ) 、孫(まご)、曽孫(ひまご)、玄孫(やしゃご)、来孫(らいそん)、昆孫(こんそん)、仍孫(じょうそん)」と続いてゆき、約300年先の未来を生きる9代目の子孫を「雲孫(うんそん)」と言うそうです。
 私たちは、300年前の祖先の顔を知らず、300年後の雲孫の顔を知ることもできません。だからこそ、祖先から受け取った手紙を大切にし、心をこめて、「雲孫への手紙」をしたためてみようと思います。

合掌

下野薬師寺別院 舎那殿壇 龍興寺 副住職阿波建多

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