- 日替わりコラム
Tue
3/10
2026
「健康で文化的な最低限度の生活」と聞いて、どのような日常を思い浮かべるでしょうか。衣服があり、住まいがあり、食事に困らない——多くの人が、そうした物理的条件を「最低限」とイメージするのではないでしょうか。しかし現代社会では、この「最低限」と「幸せであること」の間に、大きな隔たりが生じているように見えます。
生物としてのヒトにとって本当に必要なものは、安全な食事、眠れる環境、そして数人の信頼できる人間関係(これが今は意外と難しいのですが)と、実際はそれほど多くありません。ところが、実際にはこの最低限さえ満たされていないにもかかわらず、「幸せになること」を執拗に目指している人も少なくありません。SNSの普及によって、「幸せであること」の基準は際限なく引き上げられました。フォロワー数、収入、自己実現など。そうした指標と比較される中で、憧れの誰かに届いていない自分を、欠けた存在のように感じてしまう。最低限の生活のラインは下がり、幸せの基準は上がり続ける。このズレこそが、現代人のメンタルを削っている大きな原因なのではないでしょうか。
だからこそ、まず見直すべきなのは夢や目標ではありません。「自分は最低限を満たせているのか」「自分にとっての最低限とはなにか」を問い直すことこそが、セルフケアの最初の一歩になるのです。
ILFY 代表コーチ内藤響
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