- 日替わりコラム
Fri
3/13
2026
自炊しながらの滞在湯治は、長年にわたる私の最大の楽しみです。ところが、かかりつけにしていた温泉が一昨年と昨年、相次いで閉湯するという事態が起きました。これまで全国のひなびた湯治宿を巡ってきましたが、6年前から旅に加わった愛犬・まりもと一緒に泊まれて、安くて古く、自炊できる一軒宿はなかなか見つかりません。
そんな中、いつも利用していた磐梯山(ばんだいさん)の中腹にある自炊専門の一軒宿・横向温泉が、まりも連れを許してくれました。しかも、嬉しいことに部屋ではなく敷地のブナ林でのテント泊。それからは隔月で訪れました。私は温泉と焚火、まりもはクマやイノシシ、サルの探索を堪能しました。しかし残念なことに、一昨年、地震で源泉が出なくなり、大雪で宿も倒壊し、廃業となってしまいました。同じ年、たまたま立ち寄った長野県の日帰り湯・猫鼻温泉では、敷地でテントを張り、自炊もできることを知りました。それ以来、自炊湯治を毎月楽しみました。冬にも行きました。平日の夜はほぼ一人です。まりもは漂うイノシシ、シカの匂いに夢中でした。ところがその湯も昨年の夏に閉湯の途に。一人で湯守りしていたオーナーは95歳、体力の限界とのことでした。
こうして、私の二つの「かかりつけ自炊湯治湯」を失いました。この春は、まりもと森で過ごせる三つ目の湯を探さねばなりません。
富山市ファミリーパーク 名誉園長/元日本動物園水族館協会 会長山本茂行
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