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2026

薬草に親しむ(10)クチナシ

 今回は、東京都薬用植物園で栽培している「クチナシ」を紹介します。当園では、漢方薬原料植物区でクチナシを栽培しています。園芸用には八重咲きの品種もありますが、薬用として利用されるクチナシは一重咲きです。
 クチナシは、日本では本州の静岡県以西から四国、九州、沖縄にかけて自生しています。6月上旬から7月上旬の梅雨の時期になると、甘く強い香りの白い花を咲かせます。その芳香は、ジンチョウゲやキンモクセイと並び「三大香木」の一つに数えられ、古くから人々に親しまれてきました。秋から冬にかけては、鮮やかなオレンジ色の果実が実ります。この果実の独特な形は、将棋盤や碁盤の脚の意匠としても用いられています。さらに生薬名を「サンシシ」といい、日本薬局方にも収載されています。消炎、排膿、鎮静などの作用があり、さまざまな漢方処方に配合されています。また、天然の黄色色素として、飛鳥時代から染料として使われてきたといわれており、今でも栗きんとんやたくあんの着色料にも利用されています。ただし、時間が経つと褐色に変化しやすいという性質も持っています。
 なお、果実の先端が開かないことから、「口無し(くちなし)」という名前が付けられたといわれています。

東京都薬用植物園 主任研究員中村耕

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