- 日替わりコラム
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4/28
2026
山口県長門市の俵山温泉は、1100年以上の歴史を誇る名湯で、外湯文化が色濃く残る温泉地です。多くの旅館が内湯を持たず、湯治客と地元住民が町湯で自然に交流する、独特の温泉文化が育まれてきました。かつては年間70万人が訪れるほど賑わいましたが、近年は来訪者の減少や施設の老朽化、後継者不足といった課題に直面しています。
こうした状況を受け、2025年に始まったのが、温泉街全体を一つの宿に見立てる新しい滞在モデル「俵山まちごと旅館」です。地域と民間企業が連携し、温泉文化の継承と地域再生を目的に生まれた取組みで、イタリア発祥の分散型ホテルの考え方を取り入れています。宿泊者はチェックイン後、町の共同浴場「町の湯」と「白猿の湯」を自由に利用しながら、食事や散策を自分のペースで楽しめます。受付拠点には旧浴場を改装した施設を活用し、地域全体で宿泊客を迎え入れる体制を整えています。客室は木造旅館を改装した温もりある空間で、作務衣(さむえ)や下駄に身を包み、まち歩きを満喫できます。
温泉街には、ジビエ料理や地元食材を生かした飲食店、老舗菓子店などが点在し、湯治と食、暮らしが自然に溶け合います。まち歩きや地元の人との交流を通して、俵山ならではの湯治文化を体感できることが大きな魅力です。
ライター竹内悦子
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