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5/1

2026

ストレス社会を心穏やかに生きる(139)書は、人なり

 5月1日は、私の師・松風庵(しょうふうあん)(寺山(てらやま))旦中居士(たんちゅうこじ)の祥月命日忌です。
 師は、剣・禅・書を修め、山岡鉄舟居士(やまおかてっしゅうこじ)や弘法大師(こうぼうだいし)・入木道(じゅぼくどう)の流れを汲む、「筆禅道(ひつぜんどう)」という筆をもって行ずる禅の師家(しけ)であり、多くの教えと書を私たちに遺してくださいました。
 「書」とは、文字を素材とした造形芸術と言われますが、単なる造形のみの芸術ではなく、「墨気(ぼっき)」という墨痕(ぼっこん)に込められた息吹(いぶき)や精神性、文字そのものに秘められる意味(文魄(ふみだま))や、言葉に宿り、また放たれる響き(言魂(ことだま))が共鳴し合う世界…それが「書」というものだと思います。
 人間という生き物のもっとも高度な生活技術は、文字や言葉を用いてあらゆる人々との交流をはかり、「心」や「命」、「魂」までをも表現し、過去~現在~未来という時間(とき)の経過(ながれ)の中で、何千何万年先の後世にまで「いのちの証明(あかし)」を遺すことができるということです。
 効率性や利便性が優先される現代社会において、デジタル技術の恩恵に与(あずか)る今日(こんにち)、かつては同じような役割を担ってきた「書」という法理は、「想い」や「いのち」を継承する大いなる道として現代に生きています。
 「書」を書くことは、精いっぱいの「いのち」を書くこと。「書」を観ることは、無限大の「こころ」を観ること…「書は、人なり」という師の教えを胸に、本日、追善法要を厳修申し上げたいと思います。

合掌

下野国 舎那殿壇 龍興寺 副住職阿波建多

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