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2026

長谷川等伯『松林図屏風(しょうりんずびょうぶ)』

 東京・上野にある東京国立博物館には、国宝89点が所蔵されています。このうちの一つ、長谷川等伯の『松林図屏風』は毎年1月に公開されます。この屏風は、国宝に指定されているだけでなく、日本水墨画の最高傑作といわれています。
 屏風は、安土桃山時代に製作された六曲一双の紙本墨画で縦156cm、横356cmの大作です。屏風の前に立つと、冬の朝霧の中に浮かび上がる松林、かなたにのぞく雪山が目に入り、張りつめた冷たい空気が漂ってくるように感じられます。画面から松林の清々しさが伝わり、松林の中を歩いているような感覚に包まれます。手前の松林は荒々しい筆致で黒々と描かれ、後方の松は薄墨で背景に溶け込むように描かれています。用いられている紙はやや品質が低く、この屏風は本来、別の作品の下絵だったのではないかとも考えられており、謎の多い作品です。
 京都・東山の三十三間堂近くの智積院に、等伯の金碧(きんぺき)障壁画『楓図』や息子・久蔵(きゅうぞう)による『桜図』が所蔵され、いずれも国宝に指定されています。これらの障壁画は、豊臣秀吉が愛児の菩提を弔うために建立した寺院・祥雲禅寺に納められていました。等伯の後継として期待された久蔵はこの桜図を完成したのち26歳の若さで急逝しています。智積院の池泉(ちせん)回遊式庭園も国指定名勝であり、見所の一つです。

鈴木達夫

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