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2026

ネズミの排泄物からのエアロゾル感染

 ネズミの排泄物のエアロゾル感染※1 で発症したと考えられる、新たなネズミ由来感染様式として報告された症例です。
 患者は都内在住の70歳女性です。主訴は発熱とふらつきでした。入院2週間前から残尿感があり、入院3日前より発熱と胃部不快感(胃重感)を自覚していました。入院当日、外出時に転倒し、医療機関へ救急搬送されました。左腰痛、下腿痛、血尿などの所見から、腎盂腎炎が疑われ、抗菌薬治療が開始されました。投与後、速やかに解熱しました。
 しかし翌日、血液培養の陽性が判明。ネズミとの接触歴に加え、血液培養のグラム染色所見から、鼠咬症(そこうしょう)による菌血症が有力と考えられました。一方で、レプトスピラ症の可能性も否定できなかったため、セフトリアキソン(CTRX)投与を継続しました。第2病日には両下腿に紫斑が出現しましたが、速やかに改善しました。第5病日、16Sr RNA遺伝子解析※2 によりStreptobacillus notomytisと同定されました。これを受け、第6病日よりアンピシリン(ABPC)へ抗菌薬を変更したところ、全身状態は安定し、自宅療養となりました。退院後、患者自宅を訪問し環境調査を実施しました。採取したネズミ糞便を対象に、次世代シーケンサーによるメタゲノム解析※3 を行った結果、Streptobacillus属菌が検出されました。

※1 病原体が呼吸器系から体内に侵入する感染経路。空気感染とは異なる
※2 細菌の16S rRNA遺伝子の塩基配列を解析し、その細菌の分類や同定を行う分子生物学的手法
※3 環境試料(糞便、土壌など)に含まれる微生物DNAを網羅的に解析し、試料中に存在する微生物の種類や構成を明らかにする手法

イカリ消毒株式会社 名誉技術顧問谷川力

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