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Wed

6/10

2026

『桃太郎』の謎(1)時代を越えて語り継がれてきたもの

 『桃太郎』といえば、誰もが知る昔話で、その舞台は岡山県。そう認識している方も多いでしょう。しかし、『日本昔話通観』(日本各地の民話・昔話を地域別・分類別に収録した全29巻の資料)を紐解くと、事情は少し異なります。そこには、日本全国ほとんどの地域において、伝承や口承による”その土地ならではの桃太郎“が存在していることが記されています。
 こうして見ると、「桃太郎発祥の地=岡山県」と単純に言い切ることには、少々疑問が生まれます。確かに岡山県には、「温羅(うら)伝説」という鬼退治の物語が残されており、これを桃太郎のモデルとする説があります。他方で、香川県には鬼退治によって鬼がいなくなったとされる「鬼無(きなし)」という地名があり、さらに桃太郎神社も存在します。加えて、愛知県犬山市、岐阜県中津川市、宮城県石巻市にも桃太郎神社があります。こうした広がりを踏まえると、発祥の地がどこであるか以上に、日本人が『桃太郎』という物語とその精神を、日常の中に取り込み、心の拠り所としてきたことが伺えます。
 一見すると子ども向けのお伽話に思える物語も、深く掘り下げていくと実に多くの示唆に富んでいます。これから数回、そんな『桃太郎』を多角的な視点から読み解いてまいります。

桃太郎俳優Ⓡ/桃太郎研究家Ⓡ神木優

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