- 日替わりコラム
Fri
6/12
2026
動物の性が決まる仕組みには、4月号で紹介した遺伝性決定のほかに、環境要因によって雌雄が決定される仕組み(環境性決定)があります。遺伝性決定では、精子と卵が出会い、新たな生命の始まりとなる受精卵が誕生した段階で、その受精卵が雄に育つか雌に育つかがすでに決定しています。一方、環境性決定を採用する種では、この時点ではまだ性は決まっておらず、胚発生の途中や出生後の成長過程で性が決まります。
たとえば、アニメーション映画の主人公にもなったカクレクマノミは、孵化し、成体のサイズまで成長しても、性は未決定の状態にとどまります。この魚はイソギンチャクに群れを作って生活しますが、群れの中でもっとも大きな個体が雌、次に大きな個体が雄となってペアを作り、繁殖します。それ以外の小さな個体は未成熟個体となります。仮にその雌がいなくなると、雄だった個体が性転換して雌となり、3番目に大きかった個体が雄へと性成熟します。
このシステムの意義として、卵子の生産には資源とエネルギーが必要となるため、大きい個体が雌になるほうが有利であること、繁殖に参加する個体を制限することで群れが大きくなりすぎることを防ぎ、テリトリーの生活空間や餌資源を確保できることが挙げられます。このように、環境性決定は、適応進化の結果として獲得された性質といえます。
中部大学 応用生物学部 准教授松原和純
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