- 日替わりコラム
Wed
10/7
2026
プラスチックの生産量は、1950年の約200万トンから2022年には4億トンへと増加しています。累積したプラスチック廃棄物は、2050年までに約120億トンになると推計されています。それらの廃棄プラスチックは、自然界の生物的・非生物的作用によって長い年月をかけて細分化され、その過程で環境中に長期間残留するマイクロプラスチック(MP)が生成されます。
カマドコオロギでは、飼料重量の10%という高濃度のMPを与えても目立った障害は見られないことが先行研究で示されていました。その理由を追求した研究が報告されました。カマドコオロギはおよそ1週間ごとに脱皮を繰り返して5~6週間で成虫になります。摂取されたMPは主に消化管内に蓄えられ、その量は急激に増加します。しかし次の脱皮が近づくと摂食は抑えられ、消化管内のMPは糞として排出されほとんど見られなくなりました。カマドコオロギではMPが脱皮にともなって糞として排出されるので、発育への影響が回避されるようです※ 。
一方、一部のMPはさらに小さいナノプラスチックへと分解され、生物の体内から糞とともに自然界に放出されます。そして他の生物に再び摂取され、蓄積・濃縮されることで深刻な環境汚染が生じることが懸念されます。
※ Jennie E. Mills et al. (2026) Physiological Entomology. DOI:10.1111/phen.70050
元農林水産省 蚕糸・昆虫農業技術研究所 研究室長田中誠二
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