- 日替わりコラム
Thu
10/8
2026
日本では生食文化が深く根付いています。寿司や刺身だけでなく、「TKG」として親しまれる卵かけご飯も人気です。しばしばグルメ番組で「新鮮だから生が一番!」といったコメントを耳にしますが、これは安全性とはまったく別の話です。
生食は、食品に付着した病原微生物をそのまま摂取する行為でもあります。しめさばなどによるアニサキス症をはじめ、生食には固有のリスクが存在します。平成23年にはユッケによる腸管出血性大腸菌食中毒で死亡事例が起き、生食用牛肉には厳しい基準が設けられました。現在、牛レバーや豚肉(内臓を含む)を生食用として提供することは禁止されています。一方、宮崎県や鹿児島県では鳥刺し文化が根付いており、鶏肉の生食は法律で禁止されているわけではありません。しかし、鶏肉はカンピロバクターの汚染率が高く、少量の菌でも発症するため食中毒も多発しています。また、まれにギラン・バレー症候群など重篤な後遺症を引き起こすことも知られています。このため厚生労働省は、生食用鶏肉の加工時に適用する衛生基準について、初めてとなるガイドラインを策定する方針であることが、令和8年7月に報じられました。
生食には必ずリスクが伴います。その事実を正しく理解することこそ、安全への第一歩です。
元保健所食品衛生監視員小暮実
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