- 日替わりコラム
Fri
10/23
2026
今回は、東京都薬用植物園の温室で栽培しているカカオとシクンシを紹介します。どちらも熱帯・亜熱帯を原産とする植物です。
カカオの原産地は、メキシコやコスタリカなどの中央アメリカのほか、ギニアやブラジルなどです。日本では植物園以外で見かける機会はあまりありません。花はとても小さく、当園では不定期に咲いています。一方、果実はほぼ一年中見ることができます。カカオの特徴は、果実が枝だけでなく幹にも直接つくことです。この果実の中にある種子が薬用部位で、そこから得られる脂肪は生薬名をカカオ脂といいます。カカオ脂は『日本薬局方』にも収載されており、常温では固体ですが、30~34℃で溶ける性質を持つため、坐薬の基材として利用されています。また、チョコレートやココアの原料としても広く知られています。
シクンシの原産地は、インド、マレー半島、ニューギニアです。夜に開花し、咲き始めは白色ですが、夜明けとともに徐々にピンク色へと変化します。開花時には、桃を思わせる甘い香りが辺りに漂います。薬用部位は果実で、生薬名も「シクンシ」です。古くから回虫や蟯虫(ぎょうちゅう)などの寄生虫を駆除する目的で利用されてきました。残念ながら、当園で栽培しているシクンシはまだ結実したことがなく、私も果実が実っている姿を見たことはありません。いつか実をつける日が楽しみです。
東京都薬用植物園 主任研究員中村耕
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