特集

弊所発行の「月刊クリンネス」に掲載された過去の連載コラムの中から、テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。

温泉めぐり春夏秋冬

温泉と宿のライター(執筆当時) 野添ちかこ

いきもの 温泉めぐり春夏秋冬温泉の効用

 「は~♪ ごくらく、ごくらく」。どっぷりと温かい温泉に浸かれば、日頃の疲れもどこへやら。庶民が農閑期の骨休めに、あるいは戦国武将が兵士の傷を癒すために、また藩主が伴(とも)のものを従えて温泉地に行く。いつの時代も日本人は温泉で心身の疲れを癒し、明日への活力を養ってきました。
 温泉のなにがすごいのかというと、温熱作用=「温める」効果が絶大だということです。加えて、炭酸ガスや硫化水素ガスが血管を拡張して血流を促進したり、重曹成分が角質を落としたり、マグネシウム分を含む温泉を飲めば便秘解消につながったり等々、含まれる成分によって不調が改善される効果もあります。さらに海や山など普段とはまったく異なる自然環境に身を置くことで、心身ともにリフレッシュできるのです。
 日本三名泉のひとつ、草津温泉は、恋の病以外に効かないものはないといわれる万病の湯。江戸時代には、八代将軍徳川吉宗が江戸まで運ばせた名湯です。釘をも溶かす酸性の硫黄泉は、神経・関節痛をはじめ、動脈硬化症、糖尿病、高血圧症、アトピー性皮膚炎などの皮膚病にも効果を発揮します。温泉街には誰もが入れる共同湯が点在しているほか、最近は気軽に泊まれるB&B※ スタイルの宿も増加しています。温泉のチカラで体を整える湯治の旅に出かけてみませんか。
(2016年1月号掲載)

※ bed and breakfastの略で、宿泊と朝食の提供を料金に含んで、比較的低価格で利用できる宿泊施設

いきもの 温泉めぐり春夏秋冬露天風呂に行こう

 雪が解けて草木が芽吹き、新緑が美しく映えるこれからの季節は、室内から屋外へ、露天風呂へと出かけましょう。海が見えたり、山が見えたり、星空が眺められたり、自然との一体感を味わえるのが露天風呂の魅力です。いわゆる「絶景露天風呂」といわれる開放的な露天風呂に浸かれば、縮こまった心と体が解きほぐされて、日頃のストレスもどこへやら、のびやかな気持ちになれます。
 東の大露天風呂といえば、群馬県の宝川(たからがわ)温泉「汪泉閣(おうせんかく)」。延べ面積が470畳にもなる川を挟んでの露天風呂が自慢です。一方、西で有名なのが岐阜県・新穂高(しんほたか)温泉の「水明館(すいめいかん) 佳留萱(かるかや)山荘」。北アルプスの雄大な山々を望む約250畳の露天風呂は気持ちまで大きくなります。どちらもお湯は無色透明ですが、タオルを巻いて入れるので女性でも安心です。
 加えて、プレミアム感が高まるのが、その季節やその時だけ入れる限定の温泉。群馬県の猿ヶ京温泉「猿ヶ京ホテル」では5月のGW明けになると、湯船の上に設けられた藤棚に紫色のかわいらしい花が咲き、藤の花を眺めながらのぜいたくな湯浴(ゆあ)みが楽しめます。
 また、世界遺産・屋久島にある「平内(ひらうち)海中温泉」は干潮時の約2時間だけ現れる温泉。地球の力強さや優しさを感じながら露天風呂に入れば、明日への活力が養われることでしょう。
(2016年5月号掲載)

いきもの 温泉めぐり春夏秋冬暑い夏は、ぬる湯の温泉へ

 「冷房病」という言葉もある通り、クーラーで冷えた場所で長い時間を過ごしたり、冷たい飲み物を飲み過ぎたりと、夏は想像以上に体が冷えて体調を崩しやすい季節です。そんな夏こそ、家庭のお風呂よりも温熱効果の高い温泉の出番。けれど、熱い湯に入るのは気が進まないという人におすすめしたいのが、「ぬる湯」です。
 34~37℃くらいの体温と同じくらいの温泉は「不感温度」といわれ、熱くも冷たくも感じず長く入ることができます。副交感神経が刺激されるため、リラックス効果に優れています。
 開湯1250年以上といわれる栃尾又(とちおまた)温泉(新潟県)の自在館(じざいかん)に湧く霊泉(れいせん)※ は、36℃のぬるめのラジウム泉。地元では子宝の湯としても有名で、1時間、2時間と浸かっていられます。この湯に浸かれば、細胞が活性化され、精神的にもゆったりできてよく眠れることでしょう。
 大分県の長湯(ながゆ)温泉は、「ラムネ温泉」ともいわれる炭酸ガスを含むシュワシュワのお湯が人気です。血行促進効果が高く、入った瞬間に皮膚が紅潮するのがわかるほど。神経痛や高血圧症、動脈硬化症などに効果的です。温度は少し低くて32~33℃くらいですが、気長に浸かると体の芯からぽかぽかと温まってくるのがわかります。今年の夏は「ぬる湯」で、プチ湯治をしてみてはいかがでしょう。
(2016年7月号掲載)

※ 不思議な効能がある温泉

いきもの 温泉めぐり春夏秋冬プラスアルファで滞在をもっと楽しく

 秋の夜長、旅先の温泉宿でなにをするのがお好きですか。ひたすら湯三昧、ライブラリーで読書、客室で映画鑑賞、バーでお酒を飲む。それとも温泉街に繰り出しますか。自分にぴったりの滞在方法を見つけると、旅の楽しみは何倍にも増えるはずです。
 たとえば、こんな温泉地があります。島根県の温泉津(ゆのつ)温泉。こちらの温泉では、龍御前(たつのごぜん)神社という地元の神社で毎週土曜日、伝統芸能である石見神楽(いわみかぐら)をかぶりつきで見られる「夜神楽(よかぐら)」を開催しています。夕飯を食べた後に気軽に参加でき、拝観料も600円とお得。日本神話、『ヤマタノオロチ』の迫力を間近に体感できますよ。
 また、天下の名湯草津温泉でも、湯畑横にある「熱乃湯(ねつのゆ)」で毎夜、「温泉らくご」が開催されています。浴衣にゲタをひっかけて、湯畑の夜景を楽しむのも一興(いっきょう)。入場料は大人1人、1,000円です。
 最後に紹介するのは、イケメンソムリエのいる宿。日本三大薬湯といわれる新潟県の松之山温泉にある「玉城屋旅館」は、ワインのソムリエ、きき酒師(ざけし) 、酒匠(さかしょう・きき酒師の上位資格)を持つ若旦那が、野菜、山菜、きのこがメインの山里料理にぴったりのワインや日本酒を選んでくれます。日本旅館にはめったにないサービスで、特にお酒好きの人におすすめしたい宿です。
(2016年10月号掲載)

ページの先頭へ戻る