イカリホールディングス株式会社 よりそい、つよく、ささえる。/環文研(Kanbunken)

COLUMN

- コラム

「月刊クリンネス」に掲載された
過去の連載コラムの中から、
テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。
(執筆者や本文の情報は執筆時のものです)

食品工場の「やってはいけない」(1)

イカリ消毒株式会社

更衣と入場

 食品工場に出勤すると、まず作業着に着替え、工場に入場するところから仕事が始まりますね。その「更衣」と「入場」のときに、食品衛生上、「やってはいけないこと」がたくさんあります。
●作業着を更衣室の床に置いてはいけません
更衣室の床には髪の毛やゴミが落ちています。そこに作業着を置くとそれらが付着してします。
●アクセサリーなどをつけてはいけません
指輪やイヤリングなどは作業中に落とすと、食品に混入する可能性があります。つけてきたアクセサリーは更衣室ではずしましょう。
●流水だけで手を洗ってはいけません
石けんを使わずに洗うと、逆に手のシワにいた雑菌が浮かび上がり、よけい「汚れた状態」に!
●身だしなみのチェックを怠ってはいけません
帽子から髪の毛がはみ出ていないか?正しく作業着が着られているか?鏡を使ってチェックしてから作業場に入りましょう。
 これらはほんの一例です。みなさんの工場ではおそらくもっとたくさんの「やってはいけないこと」「やらないといけないこと」が決まっているはずです。なぜそのように決まっているのかを再確認しましょう。
(2010年7月号掲載)

食品の取り扱い

 食品工場で製造する食品は、消費者の手に届くまでに時間がかかります。そのため、食中毒などを防止するために、家庭での食品の取り扱いとは異なる注意事項が決められています。ちなみに、食品工場での食品とは、原料、半製品(製造途中のもの)、製品が含まれます。では、以下に食品の取り扱いにおいて「やってはいけない」の例を挙げます。
●冷蔵品や冷凍品を常温で放置してはいけません
食品の保存温度は、ばい菌が増えないよう食品ごとに決められています。もし、冷蔵品を常温に置いていると、ばい菌が増えてしまいます。
●食品を露出状態にしていてはいけません
食品を露出状態にしておくと、ホコリや虫、ばい菌などが食品に入ってしまうかもしれません。袋などは開けっ放しにせず、袋や容器から出された食品でも長期間放置するときは覆いをしましょう。
 他にも、「落とした食品を使ってはいけない」などたくさんの「やってはいけないこと」が決まっており、これらはほんの一例です。
 食品の取り扱いは、食中毒などの大きな事故に直結する非常に重要なことです。みなさんの工場で決まっている食品の取り扱いの「やってはいけないこと」「やらなくてはいけないこと」を再確認し、なぜそのように決まっているのかも覚えておきましょう。
(2010年9月号掲載)

機械器具の取扱い

 食品工場では、食品を作るうえで多くの機械や器具を使用します。その大半が食品に直接触れるものであるため、食品の安全を考えると、機械器具の取り扱いは非常に重要です。異物混入や微生物などの危険から食品を守るために、機械器具の取り扱いについてルールがあります。
●汚れをそのままにするとバイキンが増えるので、使った器具をそのまま放置してはいけません。
●アレルゲンや添加物など他の製品や原料と混ざってはいけないものがあります。そのため、機械器具は決められたもの以外には使用してはいけません。
●器具などがなくなってもわかるように、作業前後の器具の個数確認をおろそかにしてはいけません。
●工場では、異物混入や微生物汚染の原因になりにくい道具や器具を選んでいるので、決められた道具や器具以外のものを勝手に使用してはいけません。
●破損していることに早く気づくために、使用前・使用後の機械器具の点検をおろそかにしてはいけません。
 このように、多くの「してはいけない」ことがあります。機械器具は決められた通り、綺麗かつ丁寧に扱い、食品の安全を守りましょう。
(2010年11月号掲載)

作業中の動作

 食品の苦情や事故につながるような、異物の混入や微生物の汚染の多くは、食品を製造している間に起きています。したがって、食品を製造する現場の中での従事者の動作や姿勢は、苦情・事故を防ぐためにとても重要なのです。
●私語・無駄話をしてはいけません
作業に集中しないとミスが起きやすくなり、ミスは事故を引き起こします。私語・無駄話を慎んで作業に集中しなければなりません。
●場内を走ってはいけません
走るとホコリやゴミが舞い上がり、食品の上に落ちやすくなります。目には見えない雑菌も、同じように舞い上がります。
●汚れた手で食品を触ってはいけません
作業中、手はいろいろなものに触れます。ゴミや床など汚れたものに触れると、見た目は汚れていなくても、手には雑菌がたくさんついてしまいます。そのままの状態で食品に触ったらどうなるでしょう。
 この他に、みなさんの工場では、場内での動作・姿勢について、もっとたくさんの「やってはいけないこと」が決まっているはずです。苦情や事故に直結しやすい製造場内での動作・姿勢のルールを、この機会に再確認しましょう。
(2011年1月号掲載)

記録

 食品工場では、自分たちが実施したことや確認したことの記録を残さなくてはいけません。それは、後で作業を見直したり、実施したことを対外的に証明したりするために必要だからです。最近では、「やりました」「やっています」と口で言うだけでは信用してもらえません。そのため、記録もただ書いていれば良いということではなく、「活動を証明できるもの」「見直しができるもの」としてしっかりと残しておかなくてはいけません。
 ここでは、「やってはいけない記録のつけ方」についていくつか紹介します。記録する際には注意しましょう。
●作業終了後などに、まとめて記録してはいけません(記憶を頼りに書くと、実際とは異なってしまうかもしれません。記録はリアルタイムに記入しましょう)。
●時間や温度などの数字は、省略して記録してはいけません(「10時54分、80.3℃」というように、しっかりと正確に書きましょう)。
●修正したことがわからないような方法で、修正してはいけません(修正液や消しゴムなどを使って修正してはいけません。二重線で修正して、横に正確な数字と自分の名前を書き、誰がどのように修正したかわかるように記録しましょう)。
 工場ごとに他にも記録のルールを決めています。自社のルールを確認し、しっかりと守って意味のある記録を残していきましょう。
(2011年3月号掲載)

報告とコミュニケーション 

 食品を製造している現場の多くは複数の人たちが働いています。その一人ひとりがまじめに働いていたとしても、バラバラのことをやっているようでは、良い製品はできませんし、何らかの事故につながる危険性もあります。そのようにならないために必要なことは、「コミュニケーション」をしっかりして意思疎通を図ることです。コミュニケーションの基本は、「"報"告・"連"絡・"相"談(ホウレンソウ)」と言われています。
●報告:上司から指示・命令を受けたことに関して、その進行状況や結果を知らせること
●連絡:関連している人に必要な情報や有効な情報を知らせること
●相談:解決したいことや疑問に思ったことについて、周囲の人に意見を求めること
 円滑に業務を進めるためには、この「ホウレンソウ」を積極的に行うことが重要です。特に「これを言うと怒られるからやめておこう」、「失敗したことは恥ずかしいから隠しておこう」など、「悪い情報」を報告しないことは最もやってはいけないことです。それが原因で大きな事故に発展することもあり得るのです。
 業務中にいつもと違うことやおかしなことを感じたり、見たりした場合は、すぐさま「ホウレンソウ」することを心掛けましょう。
(2011年5月号掲載)

  • 全て
  • 感染症
  • 健康
  • いきもの
  • 食品
  • 暮らし