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COLUMN

- コラム

「月刊クリンネス」に掲載された
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新型インフルエンザ等対策特別措置法

クリンネス編集室

インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる発熱・悪寒・頭痛・筋肉痛・せき・咽頭痛などの呼吸器疾患で、冬季を中心に流行が見られます。インフルエンザウイルスは、直径100nm(ナノメートル)の球形で、エンベロープ(皮膜)を持つRNAウイルスです。抗原性の違いからA型、B型、C型に分類されます。流行を起こすのは、A型とB型です。また、表面の二つの突起、赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)の違いによって、いくつかの亜型が存在します。
 1918〜19年にかけて世界的な大流行(パンデミック)となったスペインかぜはA型(H1N1亜型)、1957年のアジアかぜはA型(H2N2亜型)、1968年の香港かぜはA型(H3N2亜型)など、いずれもウイルスの変異が確認されています。2009年4月、WHOがメキシコおよび米国において、ブタ由来の新型インフルエンザ(A/H1N1)発生を公表しました。日本では、1年間で推計2000万人が罹患し、およそ200人以上の方が亡くなりました。
 対応が混乱したことや過去の教訓を踏まえて、病原性の高い新型インフルエンザや危険性のある新感染症も対象にした「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が、平成24年5月に成立しました。
(2014年10月号掲載)

※1nm =0.000001mm

 平成24年5月に成立した「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の概略を紹介しましょう。目的は、危機管理として新型インフルエンザや全国的に急速に感染が広がるおそれのある未知の感染症に対し、国民の生命・健康を保護し、国民生活や経済に及ぼす影響を最小限にしようとするものです。事前の準備のための体制整備と、国内で発生した際の措置を決めておくことが記されています。
 国、都道府県、区市町村ごとに行動計画を作成し、物資や資材の備蓄、訓練、知識の普及などを準備すること。医療やエネルギー、輸送などに関わる指定公共機関が計画を作成し準備すること。海外発生時の水際対策などについて決められています。また、国内での感染状況に応じて、未発生期、海外発生期、国内発生早期、国内感染期、小康期の段階を想定し、実施体制、情報収集と提供、予防と感染拡大防止、予防接種、医療の提供体制、社会機能の維持なども決められています。
 一般の事業者には、職場における感染対策や人が集まる業態では、発生時の事業縮小が求められることもあります。個人のレベルでは、マスク着用、咳エチケット、手洗い、うがいなどの感染対策の実践や、食料品や生活用品の備蓄、予防接種の実施の励行などが求められます。国や地元自治体からの情報に細心の注意が必要なことはいうまでもありません。
(2014年11月号掲載)

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