イカリホールディングス株式会社 よりそい、つよく、ささえる。/環文研(Kanbunken)

COLUMN

- コラム

「月刊クリンネス」に掲載された
過去の連載コラムの中から、
テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。
(執筆者や本文の情報は執筆時のものです)

認知症の予防(1)

介護問題研究家 中村和彦

認知症予防にブルーベリーとイチゴ

 世界保健機関(WHO)は昨年、認知症の患者が2050年までに現在の3倍の1億1540万人に達すると発表しました。特に途上国での高齢化が進み、患者が増えるといいます。そんな中、米国の健康サイト『マイヘルス・ニュースデイリー』が、ブルーベリーとイチゴが認知機能低下の予防に役立つというハーバード大学医学部の研究成果を発表しました(被験者は同大学医学部とその付属病院の1万6000人の女性)。
 ブルーベリーやイチゴにはフラボノイドという物質が豊富に含まれており、これがストレスや炎症を軽減し、さらに認知機能の低下を抑えるようです。さらにブルーベリーに含まれるアントシアニン色素は、過剰に発生した有害な活性酸素を抑える働き(抗酸化作用)があることもわかっています。活性酸素はさまざまな老化現象を引き起こす要因とされ、シミやシワから認知症、さらにガン、脳卒中など、多くの生活習慣病などと関連しています。米国農務省に属する栄養研究所が、米国産の43種類の果実と野菜の抗酸化作用を比較したところ、アントシアニン色素の含有率はブルーベリーが最高値を示したそうです。
 私も、5年以上も前から認知症の母には毎朝ブルーベリージャムを食パンにつけて食べさせています。認知症発症時から介護度3を維持しているのもブルーベリー効果かもしれないと、頬を緩めております。
(2014年1月号掲載)

スーパーマリオで認知症予防

 2013年11月、ベルリンのシャリテ大学医学部と人間発達研究所は、脳とゲームに関する研究で、スーパーマリオゲームがアルツハイマーなど、脳が萎縮する精神疾患の治療に役立つ可能性があると報じました。
 研究は、スーパーマリオを2か月間に渡り毎日30分ずつゲームさせて脳の変化をMRIで測定し、ゲームをしなかった人と比較するという方法で行われました。ゲームをした人は、記憶形成、空間的定位、戦略的計画、微細運動技能に関連する脳の領域が増大したそうです。これらの変化は、被験者がゲームを「もっとやりたい」と報告したとき、特に大きかったそうです。
 ゲームは目、耳、指をフル稼働させて行います。しかも何もかも忘れて楽しんで行うので脳の活性化につながっていると思われます。以前から、趣味や夢中になれるものがある人は、認知症になりにくいと考える専門家は少なくありませんでした。体を動かしたり、用具が必要な趣味は苦手という方は、ぜひゲームに挑戦してみてはいかがでしょうか。
 ただし、認知症防止などと真面目に考えず、心を無にして楽しむこと。くれぐれも夢中になりすぎて、何時間も没頭しないよう注意しましょう。
(2014年2月号掲載)

「運動+頭を使う」で認知症予防

 認知症の予防や治療において、薬ではなく、「運動+頭を使う」(デュアルタスク)という方法で大きな成果を上げているケースがあります。
 運動が認知症予防に有効であることは、すでに知られていますし、計算や記憶に関する脳トレーニングも、広く実施されています。そこで、これらを同時に行うことで効果がより高まるのではないかと考え、3年ほど前から国立長寿医療研究センターで実験が始まりました。同センターでは軽度認知障害のある約150名の方を対象に、運動と一緒に計算やクイズなどをするデュアルタスクを実施しました。開始から1年後に調べた結果、ほとんどの試験者が脳の萎縮や記憶力において、大きな改善が認められました。
 実験では、ウォーキングしながら簡単な引き算(100から7を引いていくなど)をしたり、踏み台昇降をしながら2、3人で尻取(しりと)りをする、といった計算や記憶に関わるエクササイズが行われます。こうしたデュアルタスクは、一般の家庭でも手軽にできます。運動は激しいものより、持続できる軽めのものがおすすめです。ただし、計算しながら歩くと集中しすぎて周囲が見えなくなることがあるので、公園など安全な場所で行うようにしてください。自宅であれば、庭を歩きながらパズルを解くなどの方法もよいと思います。
(2014年5月号掲載)

認知症などに驚くべき「緑茶」の力

 今年6月、金沢大学の山田正仁(やまだまさひと)教授(神経内科学)は、緑茶が認知症の発症を防ぐ可能性があると発表しました。60歳以上の490人を対象に、緑茶を飲む頻度別にグループ分けして比較したところ、毎日1杯以上飲むグループは、全く飲まないグループと比べて発症率が約3分の1とのことでした。緑茶の効果は、これまでにも多くの研究結果が公表されています。2006年、東北大学の辻一郎(つじいちろう)教授は、緑茶を飲む人は飲まない人より機能性障害が少ないという研究結果を公表しました。
 機能性障害とは、自分で服を着る・入浴する・家事をするなどの生活ができない状態のことで、介護が必要になる要因でもあります。最新の研究では、緑茶が新たな脳細胞の成長を活性化し、記憶力や学習力を向上させる効果があることもわかってきました。
 このほかにも緑茶には、さまざまな効果があるとされます。たとえば1日2〜3杯飲むと、動脈を柔軟にしたり、血管の詰まりを防いで心臓病のリスクを低減。1日5杯飲むと、脂肪燃焼効果を高め、ダイエットにも有効。1日6杯飲むと、糖尿病のリスクを3分の1に軽減。さらには緑茶に含まれるポリフェノールとカテキンが発ガン物質の働きを、場合によっては7、8割抑えることを確認した(静岡県立大学グループ)という報道もあります。毎日の生活に、上手に取り入れたいですね。
(2014年9月号掲載)

認知症予防にカマンベールチーズ

 今年3月、東京大学大学院農学生命科学研究科の中山裕之教授らの共同研究で、アルツハイマー病にカマンベールチーズが有効であることがわかりました。
 アルツハイマー型認知症は脳内にアミロイドβタンパク質が溜まって発症すると考えられていますが、共同研究班はアルツハイマーの症状を再現したマウスに市販のカマンベールチーズ入りの餌を3カ月間与えました。その結果、アルツハイマー病の原因物質とされるアミロイドβの沈着が減少したとのことです。有効成分の一部はオレイン酸アミドとデヒドロエルゴステロールであることがわかりました。
 カマンベールチーズはチーズに白カビの胞子を加えて熟成させることでできるチーズで、中心部がクリーミーでトロッとして食べやすく、女性に人気の食品です。今回の報告によると、白カビで発酵させた食品が、脳内でアミロイドβの除去や免疫機構を担う細胞「ミクログリア」を増強することもわかったそうです。
 これまでも九州大学などの研究で、牛乳や乳製品の摂取が認知症予防に効果的であることがわかったという報告がされています。食べ慣れなかったり苦手な人もいるかもしれませんが、毎日の食事で、できるだけこうした発酵乳製品を多く摂取するよう心がけたいものです。
(2015年6月号掲載)

3つの脳機能を鍛えて認知症予防

認知症の予防は、生活習慣(食生活や運動)の改善と、脳機能を鍛える脳トレの2つが有効だと考えられています。今回は脳トレについて、簡単にできる方法を紹介します。
 認知症になる前の段階で、最初に低下する脳機能が、「エピソード記憶、注意分割機能、計画力」の3つです。エピソード記憶とは、個人的に体験したことを自然に覚えている記憶で、体験に付随する感情も含まれます。エピソード記憶を鍛える訓練に「2日遅れ、3日遅れの日記をつける」や「レシートを見ないで家計簿をつける」といった方法があります。2日前に食べた食事を日記につけるのもよいでしょう。
 注意分割機能とは、複数のことを同時にするとき、注意をしながら作業をする機能です。この機能を鍛えるには、「複数の料理を同時進行で作る」、「人と話をするときに、相手の表情や気持ちに注意を向けながら話す」、「仕事や計算をテキパキと行う」などがあります。
 計画力とは、何かをするとき、段取りを適切に考えて実行する力のことです。計画力を鍛えるには、「旅行の計画を立てる」、「効率的な買い物を計画する」、「頭を使うゲーム(囲碁・将棋など)をする」などがあります。新しいことに挑戦するのもおすすめです。これらの対策は毎日行うことが大切ですので、今日から始めてみてはいかがでしょうか。
(2015年7月号掲載)

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