イカリホールディングス株式会社 よりそい、つよく、ささえる。/環文研(Kanbunken)

COLUMN

- コラム

「月刊クリンネス」に掲載された
過去の連載コラムの中から、
テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。
(執筆者や本文の情報は執筆時のものです)

見逃さないで!病気のサイン(2)

クリンネス編集室

耳鳴りがする

 周囲で音がしていないのに何かが聞こえるように感じる現象を、耳鳴りあるいは耳鳴(じめい)といいます。耳鳴りの多くは、原因がわかりません。難聴を伴わない一過性の耳鳴りの場合は、あまり心配することはありません。完全に無音の部屋の中に入ると、多くの人は「シーン」とか「キーン」という耳鳴りが聞こえるといいます。人の身体から出る音を感じているとも考えられており、病的なものではありません。これを生理的耳鳴りと呼ぶこともあります。
 一方、ふだん耳鳴りを感じていない人が急に耳鳴りを感じた場合や、耳鳴りといっしょに聴力の低下を自覚する場合、耳鳴りの音がうるさくて会話など日常生活に障害がでるような場合は要注意です。急な耳鳴りは、突発性難聴やメニエール病の前駆(ぜんく)症状であることもあります。脈拍と同期するような耳鳴りは、血管の病気や血管の周辺に腫瘍がある場合に起こることがあります。聴力の低下をあまり自覚していない場合でも、よく調べると急性感音性難聴が見つかる場合もあります。
 これらの病気は、いずれも早期の治療によって重症化を防いだり、症状の改善が期待できます。慢性の耳鳴りに悩まされている場合なども難聴が隠れている場合があるので、一度は聴力検査が必要です。異常な耳鳴りだと感じたら、早めに耳鼻咽喉科などの専門医を受診しましょう。
(2014年7月号掲載)

舌が白い

 鏡に向かってアカンベーをしてみると、舌の表面が白くなっていてびっくりした経験のある方もいると思います。この白い付着物を舌苔(ぜったい)といいます。苔(こけ)という字が使ってありますが、実際に苔などの微生物が繁殖していることは稀で、多くの場合は食べ物のカスなどが舌の表面に付着して白くなったものです。正常の舌は淡い赤色をしていますが、その表面に薄く白い舌苔が付着しています。薄い場合は正常で、無理にブラシなどで擦り取る必要はありません。しかし舌苔が厚く付着し白色が濃く見える場合は、口臭がひどくなったりします。胃が荒れていたり、食べすぎなどで消化機能が低下しているとき、あるいは風邪などで体調が悪いときなどは、舌苔が白く厚く付着します。この場合も舌苔を無理にとるよりも、原因となった状態を改善することが重要です。
 また高齢になると消化機能が低下し、舌の筋肉も弱り、唾液の分泌量も減って舌苔ができやすくなってしまいます。普段から”よく噛み、よく話す“などして舌の筋肉を鍛えて唾液の分泌を促すことで、舌苔が厚くなる予防になります。
 免疫が低下すると、舌にカンジダという真菌がついて真っ白になることがあります。肝機能が低下すると舌苔が黄色く見えることもあります。色調の変化など異常を感じたときは、お医者さんに相談しましょう。
(2014年8月号掲載)

めまいがする

 めまいを感じるといっても、いろいろな「めまい」があります。風邪で熱があるときの立っていられないようなめまいや、空腹が続いたあとで動こうとしたときのフラフラするようなめまいなどのように、原因が取り除かれれば感じなくなるような一過性のめまいは、あまり心配はいりません。
 めまいと一緒に、顔がゆがむ、腕を上げると左右で高さが違う、ろれつが回らないといった症状があれば、脳梗塞の発作を疑わなければなりません。しばらくしてこれらの症状が軽快しても、すぐに救急車を呼んでください。早期治療で後遺症の発生を抑制できる場合があります。
 地面がぐるぐると回るようで立っていられないようなめまいを感じたときは、メニエール病など耳の異常を疑う必要があります。特に吐き気や難聴が伴ったときは要注意です。突発性難聴の場合には早めの治療が有効です。耳鼻咽喉科を受診しましょう。
 立ちくらみのように、めまいとともに意識がなくなるようなときは、脳の血液循環の異常が考えられます。栄養不良による貧血や起立性低血圧が原因であることもありますが、心臓の異常も疑われます。
 すぐに治まらないめまいや、めまいを繰り返す場合にも、大きな病気がベースにある恐れがあります。一度、医師に相談してみましょう。
(2014年9月号掲載)

目が充血する

 「目が真っ赤」という場合、普通は白目の部分が赤くなることを意味しており、「目が充血している」ともいいます。目の充血の多くは、眼球と眼瞼(がんけん)を結んでいる結膜という部分が炎症を起こし、毛細血管が拡張するために赤く見えている状態で、結膜充血といいます。結膜充血は鮮紅色を呈します。目の疲れやコンタクトレンズの不適切な使用、あるいは目の感染症などが結膜充血を引き起こします。多くは一過性で、目を休ませることにより自然に良くなりますが、膿(う)みのような目やにが出たり痛みを感じる場合には、目の感染症が悪化していることもあります。
 白目の全体が赤くなるのではなく、黒目の周りが赤くなることもあります。この場合は眼球の内部を覆うぶどう膜に炎症があったり、緑内障を起こしていることがあり、この状態を強膜充血といいます。強膜充血では、紫がかった赤い色の充血になることが特徴です。疲れ目によっても強膜充血は起こりますが、虹彩(こうさい)や網様体(もうようたい)に異常が起こっていたり、緑内障の初期症状のこともあるので注意が必要です。
 白目が充血しているだけで、他の症状がなければ目を休養させて様子を見てもよいのですが、膿性の目やにや痛みなどがあったり、光を異常に眩しく感じたり涙目になったりする場合、あるいは黒目の周りが充血している場合などは眼科を受診しましょう。
(2014年10月号掲載)

膝が痛い

 膝の関節は全身の体重を支えるとともに、滑(なめ)らかに屈曲して円滑な歩行を確保する重要な部位です。それだけに故障すると、いろいろな不具合が生じます。
 転んだりして膝を打ち、少し痛いけれどなんとか歩けるようなときは、とりあえず痛みが治まるまでは膝に強い負担をかけないようにしましょう。体重がかかるので痛みが持続しがちです。湿布や温泉も有効です。膝を強打して強い痛みが持続したり、痛さで膝が動かせないときは、骨折や関節の中にある半月板という組織などが損傷を受けている恐れがあります。急いで受診してください。
 また加齢に伴って、膝の痛みを訴える方も増えてきます。変形性膝関節症という状態になっている方も多く見られます。肥満が症状を悪化させる要因にもなりますので、体重を減らすことが必要になります。痛みが強くて歩行に困難をきたすようであれば、整形外科への受診が必要になります。
 膝の関節だけでなく、他の関節にも痛みがある場合、あるいは膝の痛みとともに、転倒しやすくなってきたような場合は、関節リウマチや筋肉神経系の病気も考えられます。痛み止めや湿布薬に頼るのではなく、専門の医師に相談しましょう。
(2014年11月号掲載)

お酒に弱くなった

 「最近、お酒が飲めなくなった」、「すぐに酔ってしまう」、「お酒がまずくなった」などと感じることはありませんか。
 加齢に伴って、身体の機能は徐々に衰えていきます。それはアルコールを分解する肝臓も例外ではありません。お酒に弱くなる原因の多くは、加齢によるものです。30歳前後から肝臓の機能は低下してきますが、大量飲酒される方では自覚するのが遅い場合もあるようです。いずれにしてもお酒が弱くなったと感じたら、自覚に逆らわず酒量を減らすのが、お酒と長く付き合えるコツでもあります。
 お酒が弱くなった自覚とともに、疲れが溜まる、ムカムカする感じがいつもある、といったような症状を自覚する場合には、単に加齢の影響だけではなく、肝臓そのものの病気を疑う必要があります。ウイルス肝炎や肝硬変、アルコール性肝炎などが隠れている場合があるからです。
 胃や腸の消化機能が低下しているときにも、お酒が弱くなります。お酒を飲むとよく下痢をする、お腹が痛むといった症状が伴うときは、胃や腸の炎症や潰瘍が疑われます。めまいや手のしびれなどが伴う場合は、脳血管疾患の前兆のこともあります。お酒に弱くなったと感じると同時に何かほかの症状も加わるようなときは、一度医療機関を受診してみてください。
(2014年12月号掲載)

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