Kanbunken 環境文化創造研究所

COLUMN

- コラム

弊所発行の「月刊クリンネス」に掲載された
過去の連載コラムの中から、
テーマ別に選りすぐりの記事をご紹介します。
(執筆者や本文の情報は執筆時のものです)

注目すべき食中毒(4)

東京食品技術研究所 学術顧問 鈴木達夫

大鍋を使った料理の保存に注意

 カレーは世代を問わず人気の家庭料理ですが、一晩寝かせたカレーは熟成してさらに美味しくなると思っている方も多いようです。
 東京都が行った「家庭における食中毒予防に関する調査(平成30年2月)」によると、「残ったカレー・シチューを翌日以降も食べる」割合は98%、「1週間後まで食べる」と回答した方が11%もいました。また、カレーなどの保管方法は、「小分けにして冷蔵・冷凍」が40%、「鍋のまま冷蔵保管」が28%、「鍋のまま常温保管」が17%という結果でした。
 カレーやシチュー、肉じゃがなど、大鍋を使った料理を原因食品とする食中毒にウエルシュ菌による食中毒があります。主な症状は、腹痛と下痢です。潜伏期間は6~18時間で、ほとんどの患者は12時間以内に発病します。ウエルシュ菌は、動物の腸管内や土壌などに幅広く分布しています。また、加熱に強い芽胞という殻を作ります。このためカレーなど、大鍋を使った料理の保存には注意が必要です。
 大量に作ったカレーなどを保存する場合は、ウエルシュ菌が繁殖しやすい室温に長時間放置しないようにし、素早く粗熱をとって1回で食べきれる分ずつ容器に小分けして冷蔵庫に入れましょう。室温での保存は禁物です。また、一度冷蔵庫に入れたカレーなどは、鍋に移してグツグツとしっかり再加熱しましょう。
(2020年5月号掲載)

食品備蓄の注意ポイント

 新型コロナウイルスの蔓延による学校の休校や2020年4月7日の緊急事態宣言以降、外出を控えて家庭で過ごすことが多くなりました。それに伴い、レトルト食品、缶詰、乾麺やインスタント食品などの保存食品の売行きが急増し、一部では入手困難な状態になりました。
 スーパーやデパートの地下食品売り場などには、レトルトカレーが何十種類と並んでいます。日本全体では約3000種類あるともいわれ、お手頃なものから高級なものまで家庭で手軽に楽しめることから、身近な食品となっています。レトルト食品の賞味期限は、アルミ箔をラミネートした中身が見えないものでは1年から2年です。缶詰と比較すると、カレーやスープなどは多種類の素材を使うことで保存中に味の変化が起きやすく、賞味期限が短くなっています。また、中身の見えるタイプは光の影響により味の変化が起きやすく、さらに賞味期限は短くなっています。缶詰の賞味期限は、一般的に3年です。
 レトルト食品や缶詰は日の当らない冷暗所で保存しますので、棚の奥から賞味期限の切れたものが見つかることもあるかもしれません。これらの食品は災害時のためにも一定数はストックしておきたいものですが、保管場所をしっかり決めて、定期的に賞味期限と備蓄量を確認しましょう。フードロスにも気を配り、無駄にしないようにしたいものです。
(2020年7月号掲載)

テイクアウトの注意ポイント

 新型コロナウイルスの蔓延により、今年(2020)3月以降、多くの飲食店が休業を余儀なくされました。緊急事態宣言が解除された今※ も、飲食店の売上は大きく落ち込んだままです。落ち込んだ売上を少しでもカバーするために、弁当やテイクアウト、デリバリーなど、知恵を絞った取組みがされています。ある飲食店の紹介サイトによると、テイクアウトを実施している飲食店は、新型コロナウイルス以前と比較して数倍に増えたそうです。
 しかし残念なことに、弁当などによる食中毒も増加しており、5月には子ども食堂で提供された弁当で60名の食中毒が、6月には新型コロナウイルスに対応している医療従事者支援で無償提供された弁当で50名を超える大規模な食中毒が発生しています。飲食店やレストランで調理後に速やかに提供されて食べられる料理とは違い、テイクアウトや弁当は、調理後、場合によってはかなりの時間を経過してから食されるので、食品衛生には一層の注意が必要となります。
 飲食店においては、食中毒予防の三原則「つけない、増やさない、やっつける」を徹底し予防しましょう。「つけない」では一般的な衛生管理の徹底を、「増やさない」では放冷・冷却しできるだけ早く提供を、「やっつける」ではしっかりと加熱しましょう。また、弁当やテイクアウトを利用する方々は、購入後できるだけ早く食べましょう。
(2020年9月号掲載)

※ 2020年7月17日現在

デリバリーの注意ポイント

 オフィス街を歩くと、飲食店のドアにデリバリーサービスやテイクアウト対応の表示を多く見かけるようになりました。また、デリバリーサービスの自転車が疾走している姿も日常的に見かけます。新型コロナウイルス蔓延後、食の形態も大きく変化しました。
 急増しているデリバリーサービスは、蕎麦や中華料理など従来の飲食店の出前、宅配寿司やピザチェーンなど自社の専門配達員によるもの、ネットを活用した配達専門業者によるもの、タクシーによる配達サービスなど、その営業形態もさまざまです。
 デリバリーの場合には店内飲食とは異なり、調理後に時間が経過してから喫食します。そこで利用するときの注意として、まずは信頼できる飲食店や業者を選びたいものです。また、遠方からの配達となると食中毒などの危険性も増えますので、配達にかかる時間が10分程度以内※ のお店から取り寄せるとよいでしょう。次に、料理を受け取ってからは長時間放置せず、なるべく早めに食べましょう。弁当などで表示がある場合は、その表示内容に従って保管してください。さらに、レシートなどはトラブル防止のため数日間は保管しましょう。
 ウィズコロナの「新しい生活様式」のなか、消費者としてデリバリーを上手に活用したいですね。
(2020年11月号掲載)

※ 注文から配達されるまで、30分程度以内(食品衛生上は15分程度以内)が望ましい

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